大塚公園 (文京区)

大塚公園（おおつかこうえん）

東京都文京区大塚に広がる文京区立の都市公園です。その敷地の一部は豊島区にも及んでいます。地域住民にとって身近な憩いの場であり、日々の生活に彩りを添える存在として親しまれています。

概要

大塚公園は、老若男女問わず多くの人々が集まる庶民的な雰囲気を持つ公園です。広々とした自由広場は様々な活動に利用され、春には桜の名所として賑わいます。

この公園は、日本のラジオ体操発祥の地の一つであるとも伝えられています（ただし、他の候補地も存在します）。実際に、ラジオ体操が始まった翌年の1929年（昭和4年）1月15日以来、現在に至るまで毎朝、多数の参加者が集まり体操が行われています。

園内には、「大塚子育地蔵尊」と呼ばれる複数の石仏が静かに安置されています。年代が判明しているものの中には、300年以上前の江戸時代（1665年、1674年、1678年）に遡るものもあり、これらはかつての地域住民が豊作や子孫の安泰を願って奉納したものとされています。元々は大塚辻町（現在の文京区大塚5丁目の一部）の道端に置かれていましたが、1945年（昭和20年）の第二次世界大戦による戦火で被災した後、現在の公園敷地へと移されました。

公園の付帯施設として、文京区立大塚公園みどりの図書室と集会所が設けられており、地域住民の文化活動や交流の場として活用されています。また、住好稲荷社や非常災害時に備えた井戸なども整備されています。

歴史

公園がある一帯は、江戸時代の嘉永年間（1848～1854年）には松平長門守の下屋敷が設けられていた場所でした。

明治時代に入ると、1896年（明治29年）に東京市立養育院（現在の東京都健康長寿医療センターの前身）がこの地に移転してきました。

1923年（大正12年）9月1日に発生した関東大震災の際には、被災した傷病者を救護するため、内務省からの委託を受け、東京市が東京市立養育院の施設を「大塚簡易療養所」として使用しました。これに伴い、東京市立養育院は板橋町（現在の板橋区栄町周辺）へと移転しました。

震災後の復興期にあたる1926年（大正15年）、東京市はこの地に市立病院（現在の東京都立大塚病院）、婦人授産場、隣保館、託児並び児童健康相談所といった福祉・医療関連施設を相次いで設立しました。この時、「公債償還基金経済所属地」として公園用地に充てられた土地（約13,300平方メートル、4,028坪）は、地形的に利用しにくい崖地や窪地を含んでいました。

この難しい敷地を、欧米への1年間の視察旅行から帰国したばかりの東京市公園課長、井下清氏が、市街地における画期的な公園造園を目指し、欧米の進んだ公園思想を取り入れた設計・施工によって整備することになりました。

こうして大塚公園は1928年（昭和3年）3月31日に開園を迎えました。公園内には教材園なども設けられており、当時の都市公園としては非常に先端的で画期的な存在でした。

開園から約60年が経過した1988年（昭和63年）から1991年（平成3年）にかけて、公園は大規模な改修工事が実施されました。この改修によって「みどりの図書室」が設置されるなど、利用者の利便性は向上しましたが、一方で、初期の欧米風設計における特徴の一つであったベランダのライオン噴水口が塞がれるなど、当初の設計意図の一部が失われた側面もありました。

要目

面積: 15,377平方メートル
開園時間: 常時
利用料金: 無料
主な施設:
文京区立大塚公園みどりの図書室・集会所
露壇（ろだん）
大噴水
広場、花壇、砂場
ピクニックベンチ
石仏（庚申塔）、子育地蔵尊
住好稲荷社
非常災害用井戸

交通

東京メトロ丸ノ内線「新大塚駅」から徒歩約3分

隣接施設

東邦音楽大学
東京都立大塚病院
東京都監察医務院

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