大塚和

大塚 和（おおつか かのう）について

大塚和は、1915年に高知県で生まれた日本の映画プロデューサーです。彼は1955年に日活とプロデューサー契約を結び、数多くの新人監督を世に送り出したことで映画界に名を刻みました。

幼少期と学問

大塚は9人兄弟の末っ子として、親の影響で興味を持つようになった映画の世界に早くから心惹かれていました。1937年、東京外国語学校ロシア語科を卒業後、映画界に足を踏み入れることとなります。映画世界社に入社し、様々な経験を積んでいきましたが、1943年に同社が解散したことで、別の道を歩むことになりました。ますます映画の魅力に取り憑かれた彼は、都新聞社に転職し、その後も映画関連の編集などを行うようになりました。

劇団民藝での活動

1946年に映画世界社が再開し、編集長に就任しますが、1949年には退社。その後、雑誌『映画手帖』や『淑女』の創刊に関与しつつ、1951年には宇野重吉に誘われて劇団民藝に参加しました。この年、民藝の初映画作品『三太と花荻先生』を手掛け、以降も『母のない子と子のない母と』や『夜明け前』など、多くの民藝映画を製作しました。

日活との契約とプロデューサー業

1955年、大塚は日活とプロデューサー契約を結び、日本映画の発展に寄与します。今村昌平の『盗まれた欲情』を皮切りに、数多くの優れた作品を手掛ける中で、多くの若手監督を育成しました。名作を制作する中で、蔵原惟繕や熊井啓、鈴木清順など多くの監督とコラボレーションし、日本映画の新たな潮流を生み出しました。

えるふプロダクションの設立と活動

1969年には、蔵原惟繕らと共に「えるふプロダクション」を設立し、1970年にはATGと提携して『地の群れ』を制作。これにより、自らのプロデューサーとしての地位をより一層確固たるものにしました。1973年には日活との契約を終了し、一旦民藝映画社を離れることとなります。

綜映社の設立と文化的貢献

1975年には三浦波夫らと綜映社を設立し、プロデューサーとして多くの作品を生み出します。黒木和雄の作品や長谷川和彦の『青春の殺人者』なども手掛け、一踊りで映画界の発展に寄与しました。1986年には熊井啓の『海と毒薬』が藤本賞特別賞を受賞し、その活躍は映画界でも高く評価されています。

晩年と影響

大塚は1990年9月26日に脳血栓で亡くなりますが、彼の映画への情熱は今も多くの人々に受け継がれています。娘婿の和田俊や孫のダースレイダーも、彼から受け継いだ影響を持ちながら、それぞれの界で活躍しています。1992年には『大塚和 映画と人生』が出版され、彼の功績や人生が語り継がれることとなりました。

このように、大塚和の活動は日本映画の発展に寄与し、多くの才能を後押ししたことから、彼は「日本映画の影の推進者」と呼ばれています。

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