大奥(秘)物語

大奥㊙物語について

『大奥㊙物語』は、1967年に公開された日本映画です。東映が制作し、佐久間良子、藤純子、岸田今日子の3人が主演しました。この作品は、江戸時代の大奥を舞台に、女性たちの熾烈な権力闘争を描いたもので、3部構成から成り立っています。監督は中島貞夫が務め、R-18（成人映画）指定を受けています。

作品の概要

本作は「大奥」と名付けられた映像作品として初めてのもので、オムニバス形式で多くの実力派女優を起用したことが特徴です。また、ナレーターが要所で大奥の背景や事情を解説し、ストーリーが展開する形式が採用されています。このスタイルは、後の「女性時代劇」や大奥に関連する様々な作品の実質的な元祖となりました。大奥という閉ざされた空間で起こる女性同士の陰湿なドラマは、男性中心の時代劇の中でも評論されるべき企画でした。

公開当初から話題となり、1967年の映画配給収入でベストテンに入るなど、大ヒットを記録しました。東映にとっても久しぶりの時代劇の成功でありました。一方、翌年に本作を基にしたテレビドラマ『大奥』も制作され、大ヒットを収めました。これにより映画やテレビでの「エロい大奥もの」と「硬い大奥もの」に明確な分化が生じることになりました。『大奥㊙物語』はこの2つの系譜の起点として位置付けられています。

あらすじ

第1部

時代は六代将軍・徳川家宣の時代。家宣の側室であるおこんとおすめの間で争いが繰り広げられている中、大名の娘・おふさとその女中おみのが大奥に到着します。しかし、家宣はおふさではなくおみのを夜伽の相手に選んでしまいます。

第2部

添い寝役の篠の井は、将軍と夜伽の相手を監視する立場です。篠の井は、目の前で繰り広げられる情景によって欲求不満になり、同じ女性の浦尾と同性愛関係を持つようになります。

第3部

上臈御年寄の飛鳥井の部屋子・おちせは、奉公の終わりが見えてきます。おちせは恋人・長吉との結婚を夢見ていましたが、家宣に夜伽役に指名されてしまいます。彼女はその現実に打ちひしがれ、飛鳥井からの作戦を持ちかけられます。

出演者

本作では佐久間良子、藤純子、岸田今日子が中心となり、豪華キャストが揃っています。特に、ナレーターには渡辺美佐子が起用され、物語の進行を担いました。

作品の影響と評価

『大奥㊙物語』は、大奥や女性をテーマとしたジャンルに革新をもたらしました。これにより、大奥を舞台とした映画やテレビドラマが多く制作されるようになり、現在に至るまで「女性時代劇」というジャンルが確立されました。特にテレビドラマ『大奥』は、高視聴率を得て、視聴者の共感を得ることで新たなブームを呼び起こしました。この作品の成功は、しばしば成人映画への参入を図る様々な映画会社に影響を与え、日本映画界におけるセクシュアリティの表現の幅を拡げたとも言えます。

結論

『大奥㊙物語』はその後の作品に多大な影響を与えた重要な作品であり、今なおその存在感を放っているといえるでしょう。様々な視点から評価されるこの映画は、日本映画史において特筆すべき作品であり、多くの関連作品へとつながる道筋を作りました。

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