大学校 (1869年)

大学校：明治時代の官立教育機関

大学校（だいがっこう）は、1869年に明治新政府により東京で創設された官立の教育機関です。その目的は、国の教育制度を整備し、全国の学校行政を統括することにありました。大学校は旧幕府が運営していた昌平学校、開成学校、医学校の3校が統合されて設立されました。

概要

大学校は設立当初、昌平学校を基にした国学・漢学教育が重視される一方で、営利目的に基づく洋学教育も並行して進められました。このため、内部では国学派と洋学派の間に激しい対立が生じ、最終的には官庁としての機能が限られる結果となりました。

設立から数年の間に、大学校は「大学」と改称し、次に大学南校および大学東校という二つの専門校に分かれることになりました。これらの機関は後に東京大学の設立の基礎を形成しました。また、大学校は文部省（現在の文部[[科学省]]）設立の礎ともなりました。

沿革

大学校設立以前、幕末の動乱期には宗教や政治と深く結びついた教育が行われていましたが、明治維新後、江戸幕府直轄の教育機関が新政府に接収され、昌平学校がその中核となりました。1869年、大学校としての構想が具体化し、創設長官には松平春嶽が就任しました。

その後、大学校は教育内容を見直し、学科の設置において国学に重きを置く姿勢が強まりましたが、特に洋学の重要性が次第に認識されていきました。特に、兵学や医学などの実学に対する需要が高まり、教育の体系が洋学的なものへと移行していったのです。

大学本校

大学校本校は旧昌平黌に設置され、国学と漢学の講義が行われましたが、国学派と儒学派の間で対立が続き、最終的には1869年に起こった学神祭を契機に混乱が生じました。この対立がエスカレートし、大学校本校は1870年に休校となり、結果的に衰退することとなりました。これにより、江戸時代から続いていた漢学教育が断絶し、国学者・儒学者は高等教育の場から姿を消すことになりました。

大学南校

大学南校は洋学教育に特化した機関として設立され、外国から招いた教師による外国語課程「正則」が設けられました。また、普通科を修了した生徒は専門科へと進むことが認められていました。さらに、留学生の派遣や藩からの貢進生の募集が行われ、国際交流の場としても機能しました。

南校は後に文部省に移管され、開成学校、さらには東京開成学校と改称されました。最終的には東京大学法理文学部における教育の基盤となります。

大学東校

大学東校は西洋医学教育を中心として設立され、設立初期はイギリス医学が重視されましたが、その後ドイツ医学への転換が進みました。日本における医学教育の一端を担い、医師の養成に寄与しました。

東校も南校同様に文部省に移管され、最終的には東京医学校へと改称され、東京大学医学部の源流となったのです。教育内容の充実が図られ、質の高い医療人材を育成するための基盤が整いました。

結論

大学校の設立からその後の変遷は、日本における近代教育制度の形成において重要な意味を持ちます。江戸時代からの教育の流れがどのように進化していったのか、そして洋学・国学という二つの流派がどのように交錯していったのかは、日本の教育史において特筆すべき事例です。特に、後の東京大学設立に至るまでの各機関間の連携と、それに伴う多くの教育者たちの努力は、今なお多くの研究が行われています。

もう一度検索