大宇財閥

大宇財閥（Daewoo Group）の盛衰

大宇財閥は、1999年に経営破綻した韓国の巨大企業グループです。かつては現代グループに次ぐ韓国第2位の財閥として、その名を轟かせていました。しかし、アジア通貨危機の影響を受け、グループは解体の道を辿ることになります。

経営破綻と解体

1999年、大宇財閥はアジア通貨危機による経営難に陥り、中核企業であった大宇自動車へのゼネラルモーターズ（GM）の出資交渉が決裂したことが決定打となり、経営破綻が表面化しました。その結果、韓国政府主導によるグループ解体が行われ、事実上の倒産となりました。

この過程で、グループ会長であった金宇中が巨額の資金を海外へ持ち出し逃亡するという事態も発生しました。後に帰国した金宇中には背任罪などの罪で有罪判決が下され、巨額の罰金刑が科せられました。

グループ解体後の企業の変遷

大宇財閥の解体後、傘下の各企業は債権団の管理下で再建が進められました。建設機械最大手の大宇総合機械をはじめ、多くの企業が売却されました。その際、大宇の名前を冠していた企業の多くは社名が変更され、グループとしての面影は薄れていきました。

以下に、解体後の主な企業の変遷をまとめます。

大宇建設: 韓国産業銀行へ売却され、現在も大宇建設として存続。
釜山大宇ロイヤルズ: プロサッカーチーム。釜山アイコンスを経て、現在は釜山アイパークに名称変更。
大宇総合機械: 斗山グループへ売却後、斗山インフラコアに改名。さらに2021年には現代重工業に再売却。
大宇インターナショナル: ポスコグループに買収され、ポスコ大宇を経て、現在はポスコインターナショナルに。
大宇エンジニアリング: ポスコグループに買収され、ポスコエンジニアリングを経て、現在はポスコ建設。
大宇造船海洋: ハンファグループに買収され、ハンファオーシャンに名称変更。
大宇キャピタル: 亞洲キャピタルを経て、現在はウリィ金融キャピタル（ウリィ銀行グループ傘下）。
大宇証券: 未来アセット金融グループに買収され、未来アセット大宇を経て、現在は未来アセット証券。
大宇電子: 家電ブランド「DAEWOO」を展開。インドのビデオコンに売却後、東部大宇電子を経て、現在はウィニ電子に。
大宇精密工業: S&Tグループに買収され、S&T大宇を経て、現在はSNTモーティブ。
大宇自動車販売: ザイル大宇バスを経て、ザイル大宇商用車、現在はザイル商用車。
大宇自動車: 乗用車部門はGM大宇自動車技術（現韓国GM）、トラック部門はタタ大宇、バス部門は大宇バスを経てザイル大宇商用車へと変遷。

現在の大宇

企業としての「大宇」の名前はほとんど消滅しましたが、非営利団体である「大宇財団」や「大宇世界経営研究会」（旧大宇人会）が、当時のロゴやフォントを使用し、その歴史を今に伝えています。

大宇財閥の教訓

大宇財閥の破綻は、急激な成長の陰に潜むリスクを如実に示す事例として、経済史に刻まれています。多角化経営の難しさ、アジア通貨危機といった外的要因の影響、そして経営者の倫理観など、様々な要素が複雑に絡み合い、巨大財閥の終焉を招いたと言えるでしょう。

大宇財閥の歴史は、韓国経済の発展と変革を語る上で、重要な一章であり、その教訓は現代の企業経営においても学ぶべき点が多いと言えます。

もう一度検索