大宮城 (駿河国)

大宮城の概要と歴史

大宮城（おおみやじょう）は、日本の静岡県富士宮市にある歴史的な城で、別名を富士城とも呼ばれています。この城は中世の時代に、富士郡の国衆である富士氏によって築かれたと考えられていますが、具体的な築城年は明らかではありません。
今川氏や後北条氏がこの城を利用しており、近世の記録には「神田曲輪」といった別称も見受けられます。

発掘調査と遺構

大宮城跡の発掘調査では、さまざまな遺構が発見されています。これには建物の跡や溝、土塁、堀、さらに井戸の痕跡も含まれており、城の構造は郭を溝で区切った連郭式であり、主郭の西側に二ノ郭、その前面には蔵屋敷が配置され、周囲は土塁と堀で防御されていました。

発掘調査では特に多くのかわらけが見つかりました。その数はなんと約33,000点にも及び、富士郡内の他の遺跡と比べても顕著な数量です。これらは富士大宮の重要な拠点性を示しており、貿易陶磁器や、中国のお金である永楽通宝や洪武通宝といった威信財も出土しています。興味深いことに、16世紀以降の遺物は見つからず、伝承通りに16世紀後半には廃城となったと考えられています。

大宮城の戦い

戦国時代、大宮城は駿甲国境の防衛拠点として重要な役割を果たしました。1560年の桶狭間の戦い以降、今川氏が動揺する中、富士信忠が城代に任命され、普請作業が進められました。この時、今川氏と同盟を結んでいた武田氏が攻勢を強める中、大宮城はその最前線として機能しました。

今川氏が滅亡すると、富士氏は後北条氏のもとで庇護を受けることになり、城主に関する具体的な指示が与えられるようになりました。城内には井出氏などの有力者も在城していました。大宮城は武田氏による攻撃を三度受けましたが、一度目と二度目の攻防では落城を免れ、特に二度目には武田方の連合軍を撃退することに成功しています。

三度目の攻撃では、武田信玄が大軍を率いて攻めてきました。信玄は大宮に進軍し、城を落とすことに全力を挙げました。この戦の結果、富士氏は善戦しましたが、最終的には城が開城に至りました。

大宮城のその後

開城後、大宮城には武田方の九一色衆が駐留しました。富士氏は武田氏に帰属することになりましたが、その後も北条氏との連携を続け、蒲原城の戦いにも関与しました。最終的に、天正10年（1582年）には大宮城が焼失したとされています。

所在地

大宮城の位置は現在の静岡県富士宮市元城町1-1です。

このように大宮城は、中世の歴史を知る上で貴重な遺構と資料を提供しており、静岡県内でも重要な文化遺産となっています。

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