大山文雄

大山文雄：陸軍法務官から初代井原市長へ

大山文雄（おおやま あやお、1883年1月12日 - 1972年10月19日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の陸軍法務官、政治家です。最終階級は陸軍法務中将。陸軍省法務局長、初代岡山県井原市長を務めました。

生い立ちと初期のキャリア

大山文雄は、岡山県後月郡西江原村（現在の井原市）で、後に井原町長を務めた大山邦一と房与夫妻の長男として生まれました。地元の小学校を卒業後、岡山県立商業学校に進学しますが中退。その後、郡役所書記として勤務し、1904年7月に日本大学専門部正科を卒業しました。

同年12月には判事検事登用試験に合格し、司法官試補として第5師団法官部で実務を積みました。その後、陸軍を志願し、1905年3月に陸軍理事試補に任官。留守第11師団法官部員として勤務しました。同年7月には理事に任官し、以降、樺太守備軍司令部付、第7師団法官部員、第8師団法官部員、関東都督府法官部員、第18師団法官部員、第20師団法官部長、サガレン州派遣軍法務部長、第16師団法官部長などを歴任しました。

陸軍法務官としての活動

1929年6月、大山文雄は関東軍法務部長に就任し、柳条湖事件の現場検証を行いました。1932年12月には陸軍省法務局長に転任。二・二六事件の軍法会議である東京陸軍軍法会議の設置を主導しました。1942年7月1日、陸軍軍法会議法の改正により、軍司法官が文官から武官となり、大山は陸軍法務中将に任じられました。

1945年4月2日、本人の強い希望により予備役に編入され、その後、故郷に帰り西江原町長を務めました。終戦後、戦犯問題が大きな課題となる中、陸軍からの要請により、1945年11月に臨時召集を受け、再び陸軍省法務局長に就任しました。その後、組織改編に伴い、第一復員省法務局長、同法務調査部長、復員庁第一復員局法務調査部長、厚生省第一復員局法務調査部長、同復員局法務調査部長、同引揚援護庁復員局法務調査部長を歴任し、東京裁判など戦争裁判への対応に尽力しました。1949年3月31日に退官し、同年4月16日には弁護士登録を行いました。

初代井原市長として

1953年4月30日、大山文雄は初代井原市長に就任しました。市長として、上下水道の整備、市営住宅の建設、学校の建設など、市民生活の向上に尽力しました。三期12年間市長を務め、1965年4月29日に退任しました。

人物像

大山文雄は温厚篤実な人物として知られ、誠実に職務を遂行しました。サガレン州派遣軍で同僚であった阿南惟幾陸軍大将は、大山の人柄を常に賞賛していたと伝えられています。

栄典と著作

大山文雄は、その功績により、1934年に勲二等瑞宝章、1940年には紀元二千六百年祝典記念章を受章しました。また、著作として『改正陸軍刑法講義』（1908年）があります。大山の生涯をまとめた伝記として、竹沢徳敬著『米寿大山文雄』（1969年）があります。

大山文雄は、陸軍法務官、政治家として、激動の時代を生き抜き、その卓越した能力と誠実な人柄で、多くの人々に貢献しました。

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