大山町 (渋谷区)

大山町

東京都渋谷区に位置する「大山町（おおやまちょう）」は、「丁目」を持たない単独の町名として定められています。この地域では住居表示が既に実施されており、落ち着いた住宅地として知られています。

地理と街並み

大山町は、渋谷区の西部に広がる旧代々幡町の一部を構成し、西側では世田谷区北沢と接しています。町域の北から東にかけては西原に、南東から南側は小田急線の線路を挟んで上原に隣接しています。これらの地域と一体となって、人気の高級住宅地である「代々木上原」地区の一角を占めています。

町域内には、主要な道路である井ノ頭通りが東西に横断しています。また、南東の端には小田急小田原線と東京メトロ千代田線が乗り入れる代々木上原駅があり、その駅敷地の西側部分が大山町に含まれます。（駅舎の正式な所在地は西原です）。さらに、町域の西部からは小田急線の東北沢駅も比較的近い距離に位置しており、都心へのアクセスに優れています。

この地域は、関東大震災による住宅不足に対応するため、「大山園」として分譲された歴史を持ちます。その影響で、現在もゆったりとした区画の住宅が多く見られます。特に、三菱グループの社宅が多く立地しているほか、日本を代表するような大企業の経営者らが居を構える場所としても知られています。道路網も良好に整備されており、快適な居住環境が保たれています。

地域の安全については、代々木警察署が管轄しており、消防活動は神南に拠点を置く渋谷消防署が担当しています。

歴史的背景と変遷

大山町の起源は、かつての代々木村にさかのぼります。現在の町域は、もともと代々木村の「大山」という字（あざ）でした。渋谷区が誕生した際、「代々木大山町」と称されましたが、当時渋谷町側にも「大山」という字があり、そちらが先に「大山町」となりました。

その後、昭和38年7月1日に住居表示が導入された際、旧大山町の一部を含む領域が松濤二丁目に変更され、そして旧代々木大山町の大部分を含む領域が現在の「大山町」として改めて命名され、今に至ります。

周辺地域には、興味深い歴史の痕跡が見られます。紀州徳川家の子孫が所有していたとされる西原3丁目付近は「徳川山」という通称で呼ばれることがあります。また、近隣には東京消防庁の消防学校があり、かつて玉川上水であった場所は、現在、緑豊かな緑道として整備され、住民の散策路として親しまれています。

かつて、代々幡火葬場があった場所や「狼谷」と呼ばれた沼地跡は、戦後に関東医療少年院として利用されましたが、その後、国有地の利用方針が変更され、現在は国際協力機構（JICA）の関連施設や研修所（TIC）などが立地しています。さらに、近くに国内有数のモスクである東京ジャーミイがあるため、過去にはインドネシアからの留学生を受け入れる学生寮も設置されていたことがあります。これらの歴史的な変遷が、現在の多様な大山町の姿を形作っています。

地価

高級住宅地としての地位を反映し、地価は高い水準にあります。2025年（令和7年）1月1日に公示された地価によると、大山町34-9の地点で、1平方メートルあたり145万円となっています。

世帯数と人口

2024年（令和6年）12月1日現在、渋谷区が発表した統計によれば、大山町の世帯数は1,852世帯、人口は3,526人です。

交通網

町域の南東部には、小田急小田原線と東京メトロ千代田線の乗り換え駅である代々木上原駅があり、鉄道利用の便に恵まれています。西部からは小田急線の東北沢駅も徒歩圏内にあります。

道路については、東西を結ぶ東京都道413号赤坂杉並線（井ノ頭通り）と、南北方向の東京都道420号鮫洲大山線が町域を通過しており、自動車での移動も比較的スムーズです。

主な施設

大山町およびその周辺には、様々な施設が存在します。

大山緑道: 玉川上水旧水路の跡地を利用して整備された緑道は、散策やジョギングに最適な都市のオアシスです。
東京ジャーミイ: 美しいオスマン様式の建築が特徴的な、日本最大級のモスクです。異文化理解や交流の機会を提供しています。
駐日ブルキナファソ大使館: 各国の大使館が集まる渋谷区の中でも、国際的な雰囲気の一端を担っています。
日本郵便: 地域住民の生活を支える郵便関連施設も存在します。大山町の郵便番号は151-0065であり、郵便物の集配は代々木郵便局が担当しています。

このように大山町は、閑静な高級住宅街としての側面を持ちながら、主要駅への近接による利便性、そして歴史的な変遷や多様な施設が共存する、魅力的な地域です。

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