大山神社 (西ノ島町)

大山神社について

大山神社（おおやまじんじゃ）は、隠岐群西ノ島町に位置する重要な神社です。この神社は、島前地域の最高峰である焼火山の北麓にあり、古くから地元の人々に航海安全の守護神として深く信仰されています。元々は「大山」と称された焼火山自体が神体であり、信仰の対象とされていたことが特徴です。

祭神と由緒

大山神社の祭神は大山祇命（おおやまつみのみこと）で、航海や山岳信仰に関わる神とされています。創祀の時期は不明ですが、古代から神体山を祀る神社としての重要性がありました。神社の近くには古墳時代の祭祀遺跡も存在しており、当時から水の祭りが行われていた可能性が語られています。

大山神社は、『延喜式神名帳』に隠岐国知夫郡の小社として記録され、この地域の神社としての歴史を始めます。平安時代後期になると、祭神が航海の守りを担う神としてさらに賛美され、修験道の霊地としても知られるようになりました。雲上寺がこの神社の別当として関与し、両者が密接な関係を築いていきました。

中世には、佐々木氏が神社の掌握を試み、祢宜職を安堵し活動が続けられました。やがて、南北朝時代に突入すると、美多庄との関係が強化され、神社の文書が新たに形成されていきました。

祭祀と祀職の変遷

神社の祭りは、天保4年（1833年）の資料によると、2月13日と6月14日に行われていましたが、太陽暦導入後は現行の7月13日に定められました。中世以降、雲上寺の別当が祢宜職を兼任し、その後中世から近世にかけて笠置家が祢宜職として活動していました。明治の神仏分離により、雲上寺が別当職にあった時代が終わり、松浦氏が現在の宮司職を世襲することとなりました。

社殿構造とその他

現在の社殿は、明治22年に造替されており、特に唐破風の向拝を持つ本殿が特徴です。また、鳥居は元禄12年（1699年）に建立された御影石製で、隠岐島では2番目に古いものとされています。神社の周辺には神饌所や神輿を納める神輿庫も存在し、祭りや行事の際に活用されています。

笠置家文書の文化財指定

また、笠置家文書は、鎌倉時代から室町前期にかけての貴重な古文書群であり、隠岐国の文化と歴史を理解する上で重要な資料とされています。これらの古文書は昭和50年（1975年）に島根県の文化財に指定され、さらに一部が平成12年（2000年）に追加で認定されています。

大山神社は、その歴史と信仰の深さ、文化的な価値が相まって、今なお地域の人々に親しまれる神社であり続けています。

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