大岡博

大岡 博について

大岡博（おおおか ひろし、1907年3月9日 - 1981年10月1日）は、日本の著名な歌人であり、教育者としても多大な功績を残しました。静岡県静岡市に生まれた彼は、貿易商の父の影響で少年期を神戸で過ごし、その後三島に定住しました。家族には歴史的な背景を持つ者が多く、曾祖父は幕臣で、徳川慶喜に随行して静岡に居住していたとのことです。祖父は三島に移り、三島警察署長を務めたこともあり、彼の生い立ちは地域社会と深く関連しています。

大岡は1924年に沼津中学校を卒業した後、父が家庭を支えられなくなったため、進学を諦めて三島市で教職に就きました。彼はその後も教育分野で活動し、1949年から1951年まで県教職員組合の執行委員長や初代県立児童会館長、さらには中学校の校長も務めました。

彼は教育者として忙しい日々の中でも、作歌に取り組み続けました。特に豊島逃水や窪田空穂の指導を受けながら、詩作の技術を磨いていったのです。19歳の時には私家版の歌集を出版し、後に小説を雑誌に発表するなど、創作活動に精を出しました。

1934年には歌誌『菩提樹』を創刊し、1936年に窪田空穂のもとに入門してからは、歌壇での影響力を増していきました。1959年には静岡県歌人協会の初代会長に就任し、地域の文化活動に貢献しました。彼の歌は多くの人々に感動を与え、歌詞としても「三島市歌」や「春のひぐれ」、「四月の海」など、地域の文化を色濃く反映した作品を残しています。

1986年には三島市立楽寿園に歌碑が建立され、彼の業績が称えられました。家庭面でも影響力のある存在で、長男は詩人の大岡信であり、孫にも小説家の大岡玲や詩人の大岡亜紀がいます。これは大岡博の文学的な影響が次世代に受け継がれていることを示しています。

歌集

大岡博が手がけた歌集には、以下のような作品があります。

• - 白萩（私家版、大岡博祐名義、1926年）
• - 渓流（長谷川書房、1952年）
• - 南麓（春秋社、1963年）
• - 童女半跏（牧羊社、1973年）
• - 春の鷺（花神社、1982年）
• - 大岡博全歌集（花神社、2008年）

また、彼は歌論集も執筆しており、以下の作品があります。

• - 日本抒情詩の発生と其の周辺（日本文芸社、1959年）
• - 歌林提唱（短歌新聞社、1978年）
• - 作歌みちしるべ（短歌新聞社、1985年）

大岡博の作品は、彼自身の思いや地域文化を体現しており、その影響は現在もなお多くの人々に受け継がれています。

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