教職員組合

教職員組合とは

教職員組合（きょうしょくいんくみあい）は、学校教育の現場で働く教職員によって組織される団体の総称です。その形態は様々ですが、一般的には、教職員の労働条件や待遇の改善、権利擁護などを主な目的とする労働組合や職員団体を指します。これらの組織は、教職員の専門性を高め、教育環境を整備することにも貢献する役割を担っています。

日本における法的根拠と区分

日本の教職員組合は、所属する学校の設置主体によって、その法的根拠や活動の性質が大きく異なります。

国立学校や私立学校に勤務する教職員で構成される組合は、労働組合法（昭和24年法律第174号）に基づいて設立された労働組合です。これらの組合は、一般的な企業で働く労働者の組合と同様に、使用者である学校法人などとの間で、給与、労働時間、休暇などの労働条件について団体交渉を行う権利を持ちます。

一方、公立学校（都道府県立、市立など）の教職員は地方公務員であるため、その組合組織は地方公務員法（昭和25年法律第261号）や教育公務員特例法（昭和25年法律第1号）など、公務員に関する法規に基づいて設立された職員団体です。職員団体は、職員の給与や勤務時間、その他の勤務条件に関して当局と交渉する権限を持ちますが、労働組合法上の労働組合とは異なり、原則としてストライキなどの争議行為を行う権利は認められていません。このように、日本の教職員組合は、その法的枠組みから「労働組合」と「職員団体」に区分され、活動範囲や権限に違いが見られます。

主な活動内容

教職員組合の主な活動は、教職員の労働環境や待遇の維持・向上を目指すことにあります。具体的には、使用者や設置者、教育委員会などに対して、給与や手当の引き上げ、労働時間の適正化、休暇制度の改善などを求める交渉や要求活動を行います。また、学校現場の課題解決に向けた提言や、教育政策に関する意見表明、教職員の専門性向上のための研修会の開催なども行われます。教育の質を高め、子どもたちの健やかな成長を支えるためにも、働く教職員が安心して働き続けられる環境づくりは不可欠であり、組合はそのための重要な役割を果たしています。

日本の主要な教職員組合

日本には、全国規模で活動する主要な教職員組合がいくつか存在します。代表的なものとして、かつて日本の労働運動や教育界に大きな影響力を持った日本教職員組合（日教組）、それに全日本教職員組合として結成された全日本教職員組合（全教）、そして主に公立学校の教職員で組織される全日本教職員連盟（全日教連）などがあります。これらの多くは公立学校の教職員を中心とした組織ですが、私立学校の教職員を含む場合もあります。

特定の学校種や設置主体に特化した組合も存在します。高等学校の教職員を組織する日本高等学校教職員組合（日高教）や、大学・高等専門学校の教職員による全国大学高専教職員組合（全大教）、日本国公立大学高専教職員組合（日大教、事実上活動停止中）、全国公立大学教職員組合連合会（公大連）といった高等教育機関の組合があります。さらに、私立学校全体の教職員を対象とする全国私立学校教職員組合連合（全国私教連）や日本私立大学教職員組合連合（日本私大教連）など、私学の組合も多数活動しています。これらの組織は、それぞれ独自の理念や運動方針に基づき、教職員の権利擁護や教育の発展のために活動しています。

その他の団体として、日本教師会や、特定の課題に取り組む全国学校労働者組合連絡会（独立組合）なども存在します。

関連情報

教職員組合には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、大学など、多様な学校種の教員が所属しています。また、担任や教科指導を行う教諭だけでなく、養護教諭や栄養教諭といった専門職の教職員も組合活動に参加することがあります。

教育現場における組合活動に関わった人物としては、著名な書家であり、教員時代に組合で活動していた榊莫山氏や、教員組合の活動を通じて労働運動家となり、後に全日本教職員組合（全教）の委員長や全国労働組合総連合（全労連）の議長を務めた三上満氏などが知られています。彼らの活動は、教職員組合が教育界や労働運動において果たしてきた役割を示す一例と言えるでしょう。

教職員組合は、教育の質の維持・向上と、働く教職員の権利保護という重要な役割を担っています。教育現場の状況は常に変化しており、教職員組合の活動もまた、時代の要請に応じて変化していくことが求められています。

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