大広寺

大広寺：池田氏の歴史と牡丹の美が香る古刹

大阪府池田市綾羽に位置する大広寺は、曹洞宗に属する由緒ある寺院です。塩増山を背に、古くから池田氏と深い関わりを持ち、地域の歴史と文化を今に伝える重要な場所となっています。境内には、牡丹の花が咲き誇り、春には美しい景観を楽しむことができます。

歴史と池田氏との深い繋がり

寺伝によれば、応永2年（1395年）、池田城主・池田充正によって創建され、その後天巌禅師が開基したと伝えられています。文明年間（1469～1487年）には池田允正による本堂の修築が行われるなど、創建以来、池田氏によって大切に護られてきました。

摂津名所図会には、大広寺の境内にある池に関する伝説が記されており、歴史の深さを物語っています。応仁の乱後には、連歌師の肖柏が堺から移り住み、草庵を結んだ記録も残されています。

その後、幾度かの荒廃を経て、荒木村重によって伊丹に移築された時期もありましたが、慶長の頃、池田知正によって池田の地で再興されました。元禄7年（1694年）には、当時の住職による本堂などの再建が行われ、子院も招致し、江戸時代中期には40余りの子院を擁する大寺院として栄えました。現在、境内には陽春寺という子院が残されています。

大広寺は池田氏の菩提寺でもあり、歴代池田城主の墓が境内にある他、池田氏寄進と伝わる梵鐘も現存しています。本堂の玄関にある「血天井」は、永正4年（1507年）の両細川の乱で、池田貞正が細川高国に攻められ落城した際に、貞正が切腹した時の板を用いたものと伝えられています。この天井は、戦乱の悲劇を今に伝える貴重な史跡です。

見どころと文化財

大広寺には、歴史的価値の高い建造物や遺品が数多く残されています。

本堂: 元禄7年の再建以降、現在に至るまで大切に維持されてきました。
梵鐘: 池田知正の弟・池田光重が、知正の養子となった長男・三九郎を弔うために慶長14年（1609年）に寄進したと伝えられる梵鐘は、歴史と信仰の重みを感じさせます。
池田知正と三九郎の五輪塔: 梵鐘と同様に、知正と三九郎を弔うために建立された五輪塔です。
小林一三夫妻の墓: 阪急電鉄創始者である小林一三夫妻の墓も大広寺にあります。
宝塚歌劇団「宝友之塔」: 宝塚音楽学校卒業生を慰霊する碑です。
肖柏の墓碑、田中桐江の墓碑、山中家一族の墓: それぞれ連歌師、儒学者、大阪豪商の墓碑があり、多様な人々の歴史が刻まれています。

これらの建造物や遺品は、大阪府の指定有形文化財に指定されており、歴史的価値の高さが認められています。

アクセス

大広寺は、阪急宝塚本線池田駅から阪急バスで約5分、「五月山公園・大広寺」停留所で下車できます。

まとめ

大広寺は、池田氏の歴史と深い繋がりを持つ寺院であり、牡丹の名所としても知られる美しい場所です。歴史的な建造物や遺品、そして著名人の墓など、見どころが満載です。池田の歴史と文化に触れたい方、静かな自然の中で歴史を感じたい方におすすめです。

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