大戸平吉太郎

大戸平吉太郎（おおとひら きちたろう）は、1889年2月5日に宮城県石巻市で生まれ、1963年8月7日に亡くなった力士です。本名は阿部吉太郎（あべ きちたろう）で、4代尾車を名乗りました。身長176cm、体重98kgと、当時としては比較的恵まれた体格でした。

生い立ちと入門

石巻中学校在学中に、同じく石巻市出身の尾車親方から熱心な勧誘を受け、「将来は師名を継がせる」という約束を取り付け、尾車部屋に入門しました。1906年5月に序ノ口を踏み、1911年6月には十両に昇進しました。

幕内での活躍

1912年5月に新入幕を果たし、1916年5月場所では新横綱の西ノ海を破るなど、8勝1敗1預という好成績を収めました。この活躍が評価され、翌1917年1月場所で関脇に昇進しました。地味な風貌ながらも、大錦などの強豪力士を破り、横綱栃木山と預かりの相撲を取るなど、大物食いとして上位で活躍しました。

引退とその後

1922年5月場所を最後に引退し、年寄・尾車を襲名しました。その後は勝負検査役や木戸部長などを歴任し、相撲界の発展に貢献しました。1961年1月に71歳で定年退職しました。

成績

通算成績は88勝81敗47休3分6預で、勝率は.521です。幕内成績は78勝77敗47休2分6預で、勝率は.503です。現役在位は34場所、幕内在位は21場所でした。三役在位は1場所（関脇1場所）で、金星を2個（西ノ海1個、大錦1個）獲得しました。また、十両優勝1回（1912年春場所）、幕下優勝1回（1911年春場所）を果たしています。

その他

1918年5月場所と1920年5月場所の1休は、相手力士の休場によるものです。幕下以下の地位は、小島貞二コレクションの番付実物画像に基づいています。現役中は「金ノ花」という四股名でしたが、1917年1月場所から「大戸平」に改名しました。

大戸平吉太郎は、その地道な努力と大物食いぶりで、相撲ファンに記憶される力士の一人です。

もう一度検索