大戸神社

大戸神社

大戸神社（おおとじんじゃ）は、千葉県香取市大戸に位置する神社です。香取神宮の摂社であり、かつては県社として格式を誇っていました。この神社は、古くから香取神宮と密接な関係を保ち、地域の信仰の中心として重要な役割を果たしてきました。

祭神

大戸神社の主な祭神は、天手力男命（あまのたぢからおのみこと）です。天手力男命は、日本神話に登場する怪力の神として知られています。また、一説には、香取神宮の祭神である経津主神（ふつぬしのかみ）の父母神である磐筒男神（いわつつおのかみ）と磐筒女神（いわつつめのかみ）を祀るとも伝えられています。

歴史

創建

社伝によれば、大戸神社の創建は景行天皇40年（西暦110年頃）に遡ります。日本武尊（やまとたけるのみこと）が東征の際、蝦夷（えみし）征伐の成功を祈願するために、この地に神を勧請したのが始まりとされています。その後、数度の遷宮を経て、白雉元年（650年）に現在の場所に社殿が造営されたと伝えられています。一方、『香取志』という文献には、天武天皇の時代に創建されたという説も記されています。

概史

大戸神社は、古来より香取神宮とのつながりが非常に深く、神主職や社領は香取神宮の大禰宜（おおねぎ）である大中臣氏（おおなかとみし）によって世襲されていました。天正年間（1573年-1592年）の古文書によると、当時、大戸神社には独自の神官組織が存在し、神主や大禰宜などの役職が置かれていたと考えられています。

社殿は、正応2年（1289年）、明徳4年（1396年）、寛文4年（1665年）にそれぞれ造営が行われました。後小松天皇の時代には、社領として1万貫が定められたと伝えられています。江戸時代には、香取神宮に幕府から与えられた朱印社領1,000石のうち、100石が大戸神社に与えられていました。現在の社殿は、宝永4年（1707年）に第5代将軍徳川綱吉によって改築されたものです。

明治6年（1873年）には、近代社格制度において県社に列せられ、地域における重要な神社としての地位を確立しました。

祭事

大戸神社では、年間を通して様々な祭事が行われます。

元旦祭 （1月1日）：新年の始まりを祝う祭事。
御花祭り （1月第2土曜・日曜）：花の豊作を祈願する祭事。
御例祭 （4月7日）：神社にゆかりのある神々を祀る例祭。
御田植祭 （4月第3日曜）：豊作を祈願する田植えの祭事。
献穀祭 （11月23日）：収穫された穀物を神に奉納する祭事。

文化財

大戸神社には、千葉県指定の有形文化財が複数あります。

羅龍王面・納曽利面 3面（彫刻）：昭和30年12月15日に指定された、舞楽で使用される面。
和鏡 3面（工芸品）：昭和55年2月22日に指定された、精巧な装飾が施された鏡。

これらの文化財は、神社の歴史と文化を今に伝える貴重なものです。

現地情報

所在地

千葉県香取市大戸521

交通アクセス

鉄道：JR東日本成田線 大戸駅より徒歩約11分。

参考文献

『日本歴史地名体系 千葉県の地名』（平凡社）佐原市 大戸神社項
『新編香取神宮小史』（香取神宮社務所、1995年）p. 36

関連項目

大戸荘
香取神宮

外部リンク

大戸神社 - ウェイバックマシン
大戸神社（神社のひろば<千葉県神社庁監修>）

大戸神社は、地域の歴史と文化を今に伝える貴重な場所です。訪れる際には、その歴史と文化に触れ、心静かに参拝してみてはいかがでしょうか。

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