大日本古文書

『大日本古文書』：日本の歴史を紐解く膨大な古文書集成

『大日本古文書』は、東京大学史料編纂所が明治34年（1901年）から刊行を続けている、日本史研究において極めて重要な古文書集成です。古代から近世にわたる多岐にわたる史料を収録し、日本の歴史解明に大きく貢献しています。

三部構成：多様な史料の体系的収録

『大日本古文書』は大きく三つの部分から構成されています。

1. 編年文書: 大宝2年（702年）から宝亀10年（770年）までの文書を、年代順に編集したものです。正倉院文書を中心とした奈良時代の貴重な史料が多数含まれ、既に全25巻で刊行が完了しています。当初は全期間の文書を網羅する計画でしたが、実際には一部に留まりました。

2. 家わけ文書: 古代から中世にかけての文書を、所蔵者別に22のカテゴリーに分類して収録したものです。収録されている文書数は膨大で、『大日本古文書』全体の大きな部分を占めています。文書の配列は、編年順となる場合もありますが、元の所蔵者による整理方法が踏襲されている場合もあり、必ずしも統一されていません。現在も刊行が続けられており、未完の状態です。

3. 幕末外国関係文書: 嘉永6年（1853年）以降の幕末期の外交に関する文書をまとめたものです。元々は外務省が編纂していたものを、東京帝国大学（現在の東京大学）が引き継ぎ、『大日本古文書』の一部として刊行されています。現在も刊行が続けられており、既刊51冊と付録7冊に達しています。

家わけ文書の構成例

家わけ文書は、様々な家系や寺院が所蔵していた文書をまとめたもので、その多様性が特徴です。以下に収録されている主な文書の例を挙げます。

高野山文書 (8冊)
浅野家文書 (1冊)
伊達家文書 (10冊)
石清水文書 (6冊)
相良家文書 (2冊)
観心寺文書 (1冊)
金剛寺文書 (1冊)
毛利家文書 (4冊)
吉川家文書 (3冊)
東寺文書 (17冊、続刊中)
小早川家文書 (2冊)
上杉家文書 (3冊)
阿蘇文書 (3冊)
熊谷家文書、三浦家文書、平賀家文書 (1冊)
山内首藤家文書 (1冊)
島津家文書 (5冊、続刊中)
大徳寺文書 (14冊)
真珠庵文書 (8冊、続刊中)
東大寺文書 (22冊、続刊中)
東京大学所蔵文書 (1冊)
醍醐寺文書 (16冊、続刊中)
満濟准后日記紙背文書 (3冊)
東福寺文書 (5冊)
蜷川家文書 (6冊)
* 益田家文書 (4冊、続刊中)

歴史研究への貢献

『大日本古文書』は、その膨大な収録量と多様な史料によって、日本の歴史研究に計り知れない貢献を果たしています。古代から近世までの様々な出来事や社会情勢を理解する上で、不可欠な資料となっています。現在も刊行が続けられており、今後も日本の歴史研究を支え続けるでしょう。 研究者のみならず、歴史に関心のある多くの人々にとって貴重な資源となっています。

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