大木操

大木操：戦時期の議会を支えた官僚・政治家

大木操（おおき みさお、1891年10月19日 - 1981年8月13日）は、日本の官僚であり政治家です。日中戦争から太平洋戦争終結までの期間、衆議院書記官長という要職を務めました。退任後は貴族院議員となり、東京都副知事も歴任しました。

生涯と業績

東京で生まれた大木は、東京府立第四中学校、旧制第一高等学校を経て東京帝国大学法科大学独法科を卒業。高等文官試験行政科に合格し、1918年に会計検査院に入庁しました。海軍省担当として検査事務に携わる中で、財部彪や鈴木貫太郎といった海軍の重鎮と交流を深めました。

衆議院事務局への転任を希望していた大木は、1923年に関東大震災発生直後に衆議院書記官となります。帝都復興予算案の作成に貢献するなど、その能力を発揮しました。ドイツ国会制度調査研究のためベルリンに滞在中には、ナチスが台頭する議会の様子を目の当たりにしました。

1938年、大木は衆議院書記官長に就任。戦時体制下で議会の事務を取り仕切る重責を担いました。斎藤隆夫の反軍演説事件では、速記録からの削除を食い止めようとしましたが、かないませんでした。大政翼賛会発足時には事務局参与を辞退し、戦後の公職追放を免れています。終戦直前には官舎が焼失し、議事堂で生活する日々を送りました。

終戦後、大木は貴族院議員に勅選され、衆議院を去ります。帝国憲法改正や国会法案の審議に尽力しました。貴族院廃止後は、第1回参議院議員通常選挙に立候補するも落選。その後、東京都副知事として、安井誠一郎知事を支え、GHQや都議会との折衝にあたりました。

引退後は、終戦時の日記や回想録を出版。激動の時代を生きた自身の経験を後世に伝えました。

エピソード

会計検査院時代、海軍関係者との交流を通して見聞を広めた。
二・二六事件では、議事堂を借りたいという反乱軍将校に対し、毅然とした態度で対応した。
陸軍から秘密会速記録の焼却を求められた際、断固として拒否し、議会史の保全に貢献した。

著書

『大木日記―終戦時の帝国議会―』(1969年)
* 『激動の衆議院秘話―舞台裏の生き証人は語る―』(1980年)

大木操は、激動の昭和時代において、官僚、政治家として重要な役割を果たしました。彼の残した記録は、当時の議会運営や政治状況を知る上で貴重な資料となっています。

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