大林寺 (岡崎市)

大林寺について

大林寺（だいりんじ）は、愛知県岡崎市の魚町に存在する浄土宗の寺院で、西山深草派に属しています。その山号は拾玉山で、院号は阜光院と呼ばれ、主な祭祀対象となっているのは阿弥陀如来です。

歴史の歩み

大林寺は1493年（明応2年）に松平光重によって設立されました。彼は天盈良倪（てんえいりょうげい）を開山として、明大寺を創建しましたが、初めての名称は光林寺でした。しかし、1530年（享禄3年）には松平清康の命により、現在の場所に移転されます。その後、1535年（天文4年）12月に清康は尾張の守山城で亡くなり、彼の遺体は菅生丸山（随念寺）で葬送されました。

清康の妻である春姫は、その後尼僧となり、1548年（天文17年）に大林寺で亡くなります。また、彼女の子で、徳川家康の父にあたる松平広忠も1549年（天文18年）に早世しました。松平家は、織田氏や今川氏の影響を恐れつつ、清康と広忠の遺体を大林寺に埋葬し、ここに彼らの霊廟が設けられたのです。

その後、歴史的な転機が訪れます。1596年（文禄5年）に豊臣秀吉の命で田中吉政が岡崎城主となった際、岡崎周辺の寺社の勢力を削ぐために取り組むこととなります。この時期、大林寺は寺の南側に田中堀が築かれるなど、一部の境内を失いました。

しかし、慶長期には松平家に対する加護が強まり、大林寺はその影響を受けて寺格をより高めました。1603年（慶長8年）には、松平広忠の法事を執り行うことが命じられ、朱印地100石が授けられました。さらに、1668年（寛文8年）には本堂や客殿が再建され、1710年（宝永7年）には紀貞翁伝徹の代に常紫衣綸旨が下賜されています。

戦争の影響

歴史の波の中で、1945年（昭和20年）7月20日の岡崎空襲では、大林寺の境内の大部分が破壊されました。その後の復興の過程で、1951年（昭和26年）には嫩（ふたば）幼稚園が彼の地に新築移転しました。1962年（昭和37年）には松平清康の墓と松平広忠の墓が岡崎市の指定文化財に認定され、当寺の歴史的意義が再認識されました。

大林寺は、岡崎市の重要な文化遺産であり、歴史的背景や人物に深く関わる寺院として、多くの訪問者に親しまれています。

もう一度検索