大橋孝至

大橋孝至：日本のモータースポーツを牽引したレジェンド

大橋孝至（おおはし たかよし）氏は、1941年3月東京生まれ。日本のモータースポーツ界において、特にマツダのル・マン24時間レース挑戦を支えたキーパーソンとして知られています。1941年の誕生から2009年3月9日の逝去まで、その人生は日本のモータースポーツの歴史と深く関わっていました。

学習院大学卒業後のモータースポーツへの道

学習院大学卒業後、大橋氏は古我信生氏に師事。これが、彼をモータースポーツの世界へと導く第一歩となりました。師事後、1966年から1967年には全日本選手権レースに参戦し、レースの世界を肌で感じながら経験を積んでいきます。

マツダとの出会い、そしてル・マンへの挑戦

1968年、古我信生氏の働きかけにより、大橋氏はマツダオート東京（現関東マツダ）にスポーツ相談室を開設。これが、彼とマツダ、そしてル・マン24時間レースという壮大な挑戦の物語の始まりでした。

その後、1973年には、加藤眞氏率いるシグマ・オートモーティブ（現サード）のル・マン24時間レース参戦における緊急パーツ手配をきっかけに、加藤氏と深く関わることになります。そして1974年、高月院にて加藤氏の依頼を受け、チーム運営に携わる形で、シグマ・オートモーティブと共同でル・マン24時間レースに初参戦を果たしました。

1979年にはマツダオート東京を率いてル・マンに挑みましたが、予選敗退という悔しい結果に終わります。この経験から、1980年はル・マンへの参戦を見送る決断をしました。しかし、この経験は、翌年からの挑戦をより強固なものにしたと言えるでしょう。

1981年にはトム・ウォーキンショーと共同でル・マンに挑戦、そして1982年、念願の初完走を果たします。1983年には、マツダスピード設立に伴い取締役に就任。同年のル・マンでは2台体制で参戦し、クラス優勝という成果を収めました。

日本車初の快挙：ル・マン24時間レース優勝

1991年、大橋氏が率いるチームは、ついにル・マン24時間レースで優勝を飾ります。これは日本車にとって初の快挙であり、大橋氏の長年の努力と情熱が結実した瞬間でした。この勝利は、日本のモータースポーツ界に大きな衝撃を与え、多くの日本人に感動と勇気を与えました。

1992年にはマツダスピードの専務取締役に就任し、日本のモータースポーツ界をさらに発展させるため尽力しました。1998年にマツダスピードが解散した後も、トヨタチームサードの監督、トヨタモータースポーツGTアドバイザー、日本自動車連盟（JAF）モータースポーツ審議委員などを務め、その経験と知識を惜しみなく後進に伝えていきました。

日本のモータースポーツ界への貢献

大橋孝至氏は、単なるレース監督や企業役員ではありませんでした。彼は、日本のモータースポーツ界の発展に多大な貢献をした、真のパイオニアでした。ル・マンでの成功は、日本の自動車技術の高さを世界に示すだけでなく、多くの若者たちに夢と希望を与えました。彼の功績は、日本のモータースポーツの歴史に永遠に刻まれるでしょう。2009年3月9日、病気のため逝去されましたが、その功績は、日本のモータースポーツ界に永遠に生き続けます。

参考文献

黒井尚志『ル・マン 偉大なる草レースの挑戦者たち』集英社 ISBN 4-08-780158-6
大橋孝至 - 日本自動車殿堂 JAHFA
* 元マツダスピード／サード監督大橋孝至さん死去

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