加藤眞

加藤眞：日本のモータースポーツを牽引したエンジニアと実業家

加藤眞氏は、1941年千葉県市川市生まれの日本の実業家、エンジン技術者、そしてレーシングカーデザイナーです。トヨタ自動車工業（現トヨタ自動車）を経て、株式会社サードの会長兼社長、株式会社シグマオートモーティブ会長、株式会社シグマ商事会長を歴任するなど、日本のモータースポーツ界に多大な貢献を果たしました。

トヨタ時代と独立

1965年、日本大学理工学部工業経営学科卒業後、トヨタ自動車工業に入社。父のトヨタ自動車販売社長、加藤誠之氏の勧めもあり、試作課（後の車両試験課）に配属されました。在籍中は、キャロル・シェルビーのもとでレースシリーズに同行し、エンジニアリングとレースチーム運営のノウハウを習得。トヨタ・2000GTやトヨタ・7のエンジン開発にも携わるなど、レーシングカー開発への情熱を燃やしていました。しかし、1970年のマスキー法改正による大気浄化対策強化を受け、トヨタがモータースポーツから撤退を始めることを受け、自らレースチームを設立することを決意。1972年11月にトヨタを退社し、翌12月にシグマ・オートモーティブ（現サード）を設立しました。

ル・マン24時間レースへの挑戦

加藤氏の情熱が最も輝いたのは、ル・マン24時間レースへの挑戦です。日本人として初めて1973年のル・マン24時間レースに参戦。当初はトヨタのエンジンを使用する予定でしたが、入手困難となり、急遽マツダのエンジンを借り受け、参戦を敢行しました。トランスミッショントラブルによりリタイヤという結果に終わりましたが、この経験を通じて、マツダオート東京の大橋孝至氏と出会うなど、大きな収穫を得ました。

続く1974年には、グラウンド・エフェクト・カーであるシグマ・MC74を開発。エンジニアとしての専門知識に加え、大橋氏のチーム運営ノウハウを取り入れることで、日本のル・マンブームの原点ともいえる挑戦を行いました。1975年には、自らチューンしたトヨタ・2TG型ターボエンジンを搭載したシグマ・MC75で参戦しましたが、油圧トラブルによりリタイヤ。資金的な限界も感じ、レース界から一時身を引きました。

サード設立とレース界への復帰

1985年、株式会社サードを設立し、レース界に復帰。長年の経験と技術を活かし、数々のレーシングカーを開発し、日本のモータースポーツ界を牽引し続けました。サードは、その後も数々のレースで活躍し、日本のモータースポーツ史に大きな足跡を残しています。

開発車両

加藤氏は、シグマ・MC73、シグマ・MC74、シグマ・MC75といったレーシングカーの他、サード・MC86X/トヨタ|サード・MC86X_トヨタ、サード・MC8-R、サード・MC8といったスポーツカー、さらにはCleaver21、Cleaver23といった船舶、そしてサード・SA4Nという飛行機まで開発するなど、多岐に渡る開発実績を残しています。

ローランド・ラッツェンバーガーとの交流

F1ドライバー、ローランド・ラッツェンバーガーとは、来日時に加藤家所有のペンションを活動拠点としていたことから、親交を深めました。加藤氏はラッツェンバーガーを息子のように面倒を見ており、ザルツブルグでの葬儀にも参列しています。

まとめ

加藤眞氏の功績は、単なるレーシングカーの開発やレースへの参戦にとどまりません。日本のモータースポーツ界に革新をもたらし、数多くのエンジニアやレーサーを育成し、業界の発展に貢献した、まさに日本のモータースポーツ界のパイオニアと言えるでしょう。彼の情熱と挑戦は、これからも日本のモータースポーツ界を照らし続けるでしょう。

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