大正橋 (広島市)

大正橋：広島の平和と歴史を繋ぐ橋

広島市の中心部を流れる猿猴川に架かる大正橋は、その名のとおり大正時代に建設された歴史を持つ橋です。現在は道路橋として利用され、広島市内の交通を支える重要な役割を担っています。幅11mの道路が走り、北側（左岸）からは広島県道164号広島海田線（大洲通り）へ、南側（右岸）からは広島電鉄皆実線段原一丁目停留場へとアクセスできます。

大正橋の歴史：軍都広島と平和への道

大正8年、道路法（旧法）の公布を機に整備された「大正国道」の一部として、大正9年には軍事国道に指定された路線上に計画されました。この路線は、広島大本営設置以降軍都として発展した広島において、重要な軍事拠点と港を繋ぐ役割を担っていました。大正12年、鉄筋コンクリートゲルバー桁橋として、現在の場所からやや下流に架けられました。

橋の完成後、西詰には巡査派出所、東詰には工場が建設され、周辺地域の発展に貢献しました。しかし、昭和20年8月6日の原子爆弾投下では、爆心地から約2kmの距離に位置していたため被災。爆風で高欄の一部が破壊されましたが、落橋は免れました。この橋は避難路となり、多くの市民が市内から東へと逃れていきました。同年9月には枕崎台風による水害で橋の中央部が流されるという被害を受けました。

戦後、仮設の木橋で復旧された後、昭和33年に現在の橋へと架け替えられました。翌年には南詰に慰霊碑が建立され、戦争の悲劇を後世に伝えると共に、平和への祈りが込められています。昭和46年には歩道の拡幅工事が行われ、より安全で快適な通行空間が確保されました。現在の大正橋は、歴史と平和への思いが凝縮された、広島の象徴的な橋と言えるでしょう。

大正橋周辺：緑と歴史の調和

大正橋の下流には、平和橋があり、その周辺は河岸緑地として整備されています。美しい自然と、歴史的な建造物が調和した景観が広がっています。また、大正橋付近には慰霊碑があり、かつてこの場所に存在した派出所を偲ぶとともに、戦争の犠牲者を悼む場所となっています。上流には被爆橋梁である荒神橋も存在し、近隣には多くの歴史的建造物や史跡が残されています。これらの史跡と合わせて訪れることで、より深い歴史的理解を深めることができます。

まとめ：広島の記憶と未来を繋ぐ

大正橋は、単なる道路橋としてだけでなく、広島の歴史、特に戦争と平和という重要なテーマを象徴する存在です。その歴史的意義、そして周辺の自然環境や慰霊碑の存在は、訪れる人々に深い感慨を与えてくれます。大正橋を訪れることで、広島の過去、現在、そして未来への思いを巡らせることができるでしょう。周辺の史跡や自然と合わせて、広島の豊かな歴史と文化に触れる旅へと誘います。

もう一度検索