大歳卓麻

大歳卓麻（おおとしたくま）

日本の実業家であり、日本アイ・ビー・エム株式会社（以下、日本IBM）の代表取締役社長執行役員、International Business Machines Corporation（IBM本社）会長補佐などを歴任しました。経済団体である社団法人日本経済団体連合会（現：一般社団法人日本経済団体連合会）では、企業行動委員会の共同委員長も務めました。

生い立ちとIBM入社

1948年 10月17日、広島県に生まれました。修道高等学校を経て、1971年に東京大学工学部を卒業。同年、日本IBMに入社しました。

IBMグループでの活躍

日本IBMでは、第一営業本部や流通サービス産業営業統括本部などを経て、1994年に取締役に就任。同時にIBM本社に出向し、ルイス・ガースナー会長の下で会長補佐を務めました。1997年には常務取締役に昇進し、1999年12月には代表取締役社長に就任。2003年からは代表取締役社長執行役員となりました。社長在任中の業績については、日本IBMの業績に関する記述をご参照ください。

2008年3月には、代表取締役社長執行役員と兼任して会長に就任しましたが、2009年1月1日付で社長を橋本孝之に譲り、会長（非取締役）となりました。2012年には、日本IBMの最高顧問を辞任しています。

IBMグループ外での活動

日本IBM以外にも、複数の企業で社外取締役を兼任していました。2004年からは三菱東京フィナンシャル・グループ（現：三菱UFJフィナンシャル・グループ）の取締役を兼任し、2012年 8月30日に退任。同じく三菱グループの明治安田生命保険でも、2010年から取締役を務めましたが、2012年に退任しています。

また、TOTOでは取締役と買収防衛策に基づく特別委員会の委員を兼任していましたが、2012年 8月30日付で、一身上の都合により辞任しています。同様に、カルビー、花王でも取締役を兼任していましたが、同日付で、一身上の都合により退任しています。

公的機関での活動

総務省の情報通信審議会では、2009年から会長を務めましたが、2012年 8月30日付で退任しました。特許庁の特許制度研究会では委員を務めました。

経済団体では、日本経済団体連合会（経団連）の企業行動委員会共同委員長や、経済同友会の幹事を務め、総合外交戦略委員会の委員長、シンクタンク創設プロジェクトチームの委員長などを歴任しました。そのほか、日本能率協会やマルチメディア振興センター、日本OSS推進フォーラムなどでも役職を務めました。

さらに、出身地である広島県の広島大学では経営協議会の委員、流通科学大学を運営する中内学園のアドバイザリーコミッティーの一員、首都大学東京（現：東京都立大学）の産業技術大学院大学では運営諮問会議の委員長を務めました。創価大学では、日本IBM社長時代に経営学部の講義を担当し、その内容は書籍として出版されています。

政治との関わり

2009年の広島県知事選挙では、湯崎英彦候補の支持を表明し、「広島県の底力を引き出す会」の代表発起人に名を連ねました。

迷惑防止条例違反事件

2012年8月22日、JR中央本線四ツ谷駅構内で女性のスカート内を盗撮した疑いにより、東京都迷惑防止条例違反容疑で四谷警察署の事情聴取を受けました。所持していたiPodには動画が残っており、盗撮に気づいた周囲の人と口論になり交番に届けられたとのことです。大歳本人は容疑を認め、「盗撮に興味があった」と供述しました。この事件を受け、三菱UFJフィナンシャル・グループ、明治安田生命保険、カルビー、TOTO、花王の5社の社外取締役と、総務省の情報通信審議会会長を辞任しました。同年11月28日、東京簡裁から罰金30万円の略式命令を受けました。

現在の活動

2022年7月22日現在、合同会社エス・シー・エヌの戦略顧問を務めています。

人物像

大学生時代は全共闘運動が盛んな時期でしたが、当時の学生たちのエネルギーを、自身や社会への貢献のために使うことができたのではないかと回顧しています。大歳自身は、ノンポリと全共闘親派の間をフラフラしていたと語っています。

日本IBM社長時代には、前任の社長である北城恪太郎との共著を上梓し、日本IBMの経営課題について論じました。また、幹部候補を選ぶ際には、必ず女性候補者の有無を確認し、女性の活躍を推進する姿勢を示していました。社内にダイバーシティー委員会を設置し、性的マイノリティーを含む多様な人材が働きやすい環境づくりにも尽力しました。この委員会では、ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルなどの性的マイノリティーの人々が働きやすい環境を整備する部門を設置し、カミングアウトを促すなど、多様性を尊重する経営を推進しました。

略歴

1948年 - 誕生。
1971年 - 東京大学工学部卒業、日本IBM入社。
1985年 - 日本IBM第一営業本部第三営業所営業第二課課長。
1986年 - 日本IBM専務補佐。
1989年 - 日本IBM流通サービス産業営業統括本部第一営業本部長。
1991年 - 日本IBM流通サービス産業営業統括本部副統括本部長。
1992年 - 日本IBM 取締役付、IBM AP社長補佐。
1993年 - 日本IBM公共システム事業本部長。
1994年 - 日本IBM 取締役、IBM本社会長補佐。
1996年 - 日本IBM 取締役。
1997年 - 日本IBM常務。
1999年 - 日本IBM社長。
2003年 - 経済同友会幹事。
2004年 - 三菱東京フィナンシャル・グループ取締役。
2005年 - 三菱UFJフィナンシャル・グループ取締役。
2008年 - 日本IBM社長／会長。
2009年 - 日本IBM会長、総務省情報通信審議会会長、広島大学経営協議会委員、TOTO取締役。
2010年 - 明治安田生命保険取締役。
2012年 - 日本IBM最高顧問、東京都迷惑防止条例違反で罰金刑。

著作

北城恪太郎・大歳卓麻編著『IBM――お客様の成功に全力を尽くす経営』ダイヤモンド社、2006年。
創価大学編『トップが語る現代経営』21巻、創価大学出版会、2008年。（寄稿）

外部リンク

大歳卓麻 | Facebook - 大歳のフェイスブックページ

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