大田区の町名

東京都大田区の町名変遷

本記事では、東京都大田区の町名の歴史を、明治時代初期から現在まで詳細に解説します。大田区の成立、旧大森区と旧蒲田区の変遷、住居表示の実施、そして羽田空港建設による影響など、多角的な視点から大田区の町名変遷を紐解きます。

大田区の成立と行政区画の変遷

現在の東京都大田区は、1947年（昭和22年）3月15日、それまで存在した大森区と蒲田区を統合して誕生しました。「大田」という地名は、大森と蒲田からそれぞれ一文字ずつを取って命名されたものです。

その成立以前、大田区の区域は武蔵国荏原郡に属し、明治初期には品川県に属していました。荏原郡は、現在の品川区、大田区、目黒区の大部分と世田谷区の一部に相当する広大な地域でした。

1871年（明治4年）の廃藩置県により、品川県は廃止され、荏原郡は東京府に編入されます。その後、東京府は複数回にわたって区画整理が行われ、大区小区制、郡区町村制と変遷を遂げました。

1889年（明治22年）、市制・町村制が施行されると、東京市（現在の東京23区にあたる）が成立し、府下の郡は町村に再編されました。大田区の区域にあたる地域は、大森村、入新井村、馬込村、池上村、調布村、蒲田村、矢口村、六郷村、羽田村の9村となりました。これらの村は、その後、順次町制を施行し、それぞれ町になります。

1932年（昭和7年）、東京市は周辺の町村を編入し、大東京市が成立しました。この際に、大森区と蒲田区が設置され、大田区の基礎が築かれました。1943年（昭和18年）、東京府と東京市が廃止され、東京都が誕生すると、大森区と蒲田区は東京都の直轄区となりました。そして、1947年（昭和22年）、大森区と蒲田区が合併し、大田区が正式に誕生したのです。

旧大森区の町名変遷

1878年（明治11年）の郡区町村編制法施行時点では、現在の旧大森区にあたる区域は、18の村に分かれていました。これらの村は、1889年（明治22年）の市制町村制施行に伴い、大森村、入新井村、馬込村、池上村、調布村の5村に再編されました。これらの村はその後、順次町制を施行し、1932年（昭和7年）、5町が合併して大森区となりました。

1964年から1970年にかけて、大田区では住居表示が実施され、町名は大きく変更されました。

旧蒲田区の町名変遷

1878年（明治11年）の郡区町村編制法施行時点では、現在の旧蒲田区にあたる区域は、1町24村が存在していました。1889年（明治22年）の市制町村制施行に伴い、蒲田村、六郷村、羽田村、矢口村の4村に再編されました。これらの村も、その後町制を施行し、1932年（昭和7年）に4町が合併して蒲田区が成立しました。

1937年（昭和12年）、蒲田地区と六郷地区で町名改正が行われ、町名はさらに変更されました。また、多摩川を挟んだ神奈川県との境界線上の飛地の編入などもありました。同様に、1964年から1970年にかけて、旧蒲田区でも住居表示が実施されています。

羽田空港地区の町名変遷

羽田空港の用地は、かつては多摩川の河口にあった砂州でした。干拓によって造成され、鈴木新田と呼ばれていました。この地域は、1932年（昭和7年）に蒲田区の一部となり、羽田鈴木町、羽田穴守町、羽田江戸見町など、いくつかの町名がつけられました。

第二次世界大戦後、この地域は連合国軍に接収され、羽田エアベースとなりました。住民は強制退去させられ、建物はすべて撤去されました。1952年（昭和27年）、エアベースは日本に返還され、東京国際空港（羽田空港）として開港しました。旧町名は1967年（昭和42年）の住居表示実施まで形式上残っていましたが、その後、羽田空港一・二丁目となりました。

現行行政町名一覧

現在、大田区では全域で住居表示が実施されています。このため、現在の町名と、住居表示実施前の旧町名には大きな違いがあります。

まとめ

本記事では、大田区の町名変遷を歴史的経緯を踏まえながら詳細に解説しました。明治時代の町村制施行から、昭和の大東京市成立、そして現代の住居表示に至るまで、大田区の町名は時代の変遷を反映しながら変化を遂げてきました。この町名変遷の歴史をたどることで、大田区の豊かな歴史と文化の一端に触れることができるでしょう。 大田区の歴史に興味のある方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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