大甲渓

大甲渓（だいこうけい）は、台湾中部の台中市を流れる重要な河川です。その源流は、台中市和平区に位置し、雪山山脈の雪山と中央山脈の大湖尖山との間に源を発しています。そこから台中市北部を東西に横断し、大甲区と大安区の河口へと流れ込みます。

特筆すべきはその地形です。標高差が3,500m以上もあるにもかかわらず、全長はわずか140kmあまり。そのため、平均斜度は2.6％という急流河川となっています。この急峻な地形は、豊富な水力資源を生み出し、石岡ダム、徳基ダム、谷関ダム、天輪ダムなど、多くのダムが建設され、用水の供給や水力発電に利用されています。

大甲渓の上流部は、良好な森林環境が維持されており、それが豊かな生態系を育んでいます。水生生物の種類は非常に多く、台湾の河川の中でも突出した生物多様性を誇ります。具体的には、水生植物が25種、巻貝が21種、エビが7種、カニが4種、さらに魚類は30科59属65種、水生昆虫は少なくとも80種類以上、両生類は4科4属65種、鳥類も26種類以上が確認されています。

支流

大甲渓には、数多くの支流が流れ込んでいます。主な支流としては、以下のものが挙げられます。

合歓渓（ごうかん-けい）
志楽渓（しらく-けい）
匹亜桑渓（ひつあそう-けい）
小雪渓（しょうせつ-けい）
鞍馬渓（くらま-けい）
馬崙渓（ばろん-けい）
稍来渓（しょうらい-けい）
良屏渓（りょうへい-けい）
十文渓（じゅうもん-けい）
東卯渓（とうぼう-けい）
横流渓（おうりゅう-けい）
阿寸渓（あすん-けい）
麻竹坑渓（まちくこう-けい）
石角渓（せっかく-けい）
中嵙渓（ちゅうか-けい）
沙連河（されん-が）

これらの支流も、大甲渓の豊かな水量を支える重要な要素となっています。

関連項目

大甲渓の固有種として特に注目されるのが、タイワンマスです。この魚は、北半球で最も低緯度に生息するサケ類として知られており、大甲渓の生態系を象徴する存在です。大甲渓は、その豊かな自然環境と独特の生物多様性において、非常に重要な河川であると言えるでしょう。

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