大石るり

大石るり（おおいし るり）は、元禄12年（1699年）に生まれ、寛延4年6月29日（1751年7月21日）に没した江戸時代中期の女性です。彼女は、赤穂藩の筆頭家老であった大石良雄（おおいし よしお）と、その妻りく（香林院）の次女として誕生しました。

3歳の頃、父・良雄の叔母の夫である進藤俊式の養女となりますが、その直後、赤穂藩改易という大事件が起こり、実家の大石家に戻ることとなりました。その後、母りくや兄の大石良金・吉之進、姉くうと共に、母の実家である但馬国豊岡藩に移り住みます。父良雄が山科に居を構えると、一家はそこへ移り住みました。

しかし、吉良家討ち入り計画が進行する中で、良雄は妻子への連座を避けるため、討ち入りを望んだ長男良金を除いて、妻りくや子らと絶縁します。元禄15年（1702年）4月15日、りくは子供たちを連れて再び但馬豊岡へ戻ることになりました。

その後、父良雄と兄良金は吉良義央を討ち、お預かりの大名屋敷で切腹するという悲劇的な結末を迎えます（赤穂事件）。正徳3年（1713年）9月、弟の大石大三郎が広島藩浅野家に仕官することが決まると、るりは母りくや大三郎と共に広島へ移住しました。

翌年の正徳4年（1714年）、藩主浅野吉長の命により、るりは浅野氏一族の浅野直道（知行1000石）と結婚しました。しかし、るりの娘は早世し、弟・大三郎の家も広島藩で絶家となったため、大石良雄・りくの血筋は、るりの家系においては途絶えることとなりました（天野浅野家は直道の庶子が継ぎ、横田大石家は明治時代に断絶）。

寛延4年（1751年）6月29日、るりは広島で53歳で生涯を閉じました。彼女の遺体は広島の禅林寺に葬られ、法名は正聚院定誉寿真大姉とされました。

しかし、昭和20年（1945年）8月6日、広島に原爆が投下された際、禅林寺の本堂は焼失し、るりの墓も全焼全壊するという悲劇に見舞われました。その後、天野浅野家の歴代墓が、禅林寺境内の檀家墓地に再建されましたが、るりの兄姉の墓のような一般公開（観光墓所）はされていません。

大石るりは、赤穂事件という激動の時代に翻弄されながらも、強く生きた女性の一人として、その名が歴史に刻まれています。彼女の生涯は、歴史の波に翻弄されながらも、懸命に生きた人々の姿を今に伝える貴重な記録です。

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