進藤俊式

進藤俊式：赤穂事件と複雑な縁戚関係

進藤俊式 (1647-1730) は、江戸時代前期に赤穂藩浅野家に仕えた足軽頭で、400石を領していました。通称は源四郎です。彼の家系は、公家近衛家の家臣を起源とし、その後、浅野家に仕えるようになりました。俊式の出自は、赤穂事件の主役である大石良雄との深い繋がりを示しています。父は赤穂藩士の進藤与四郎俊順、母はなんと大石良雄の曽祖父の娘でした。つまり、俊式は大石良雄の母方の従叔父にあたるのです。さらに、俊式は、大石良雄の祖父の娘であるお通を妻に迎えました。お通の死後は、良雄の推挙により、田村瀬兵衛の娘を後妻として迎えています。そして、良雄の次女るりを養女として迎えるなど、大石家とは非常に強い繋がりを持っていました。

元禄14年（1701年）、赤穂藩が改易されると、俊式は足軽頭の地位にありました。赤穂城での論争では、一貫して大石良雄を支持し、大野知房らと対立しました。そして、神文血判書に署名し、大石良雄の盟約に加わりました。赤穂城開城後、俊式は山科に移住します。これは、山科が関白近衛基熙領であり、俊式の親戚である近衛家家司、進藤長之が管理していた土地であったためと考えられます。大石良雄もまた、藩政残務処理の後、山科に移住しています。

その後、大石良雄とともに浅野家再興を目指しましたが、元禄15年（1702年）7月18日、浅野長広の広島藩預かりが決まり、再興は絶望的になりました。この頃から俊式は意気消沈し、7月28日の円山会議にも出席しませんでした。大石が仇討ち一本に方針転換し、「神文返し」によって脱盟の機会を与えると、俊式は閏8月8日に脱盟の書状を提出しました。大石の叔父である小山良師も同時に脱盟しており、大石は寺井玄渓を通じて2人に再考を促しましたが、俊式は閏8月22日付けの書状で再度脱盟の意思を固めました。

この脱盟の背景には、浅野本家に仕えていた俊式の叔父、進藤俊重からの仇討ち参加自重の説得があったとされています。その後、俊式は山科で生活を続けました。赤穂事件後、広島藩や兄の俊重を憚り、半髪にして「可言」と号しました。享保15年（1730年）、84歳で死去し、泉涌寺来迎院に葬られました。法名は爰疑院帰山宗休居士です。

進藤俊式の人生は、赤穂事件という激動の時代の中で、血縁や家柄、そして信念との葛藤を示す複雑なものでした。大石良雄との深い繋がりを持ちながら、最終的には脱盟という決断を下した彼の選択は、赤穂事件の多面的な側面を理解する上で重要な要素となっています。彼の行動は、単なる裏切りではなく、様々な思惑が絡み合った複雑な状況下での苦渋の決断であった可能性を示唆しています。

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