大石亜希子

大石 亜希子

大石 亜希子（おおいし あきこ）は、1963年に生まれた、日本の経済学を専門とする研究者です。特に労働経済学と社会保障論を専門分野としており、現在、千葉大学法政経学部で教授を務めています。現代社会が直面する少子高齢化や社会保障制度の持続可能性といった重要な課題について、経済学の視点から研究を進めています。

彼女の学問的経歴は、1985年3月に慶應義塾大学法学部法律学科を卒業したことから始まります。法律学を修めた後、より深く経済学を追求するため、一橋大学大学院経済学研究科に進学し、1996年3月に修士課程を修了しました。さらに同大学院の博士課程で研究を続け、2008年3月に単位を取得して退学しています。これらの長年にわたる研究活動の成果として、2012年9月には千葉大学より博士（学術）の学位を授与されています。

研究者としてのキャリアは、大学卒業後、実務的な研究機関からスタートしました。1985年4月から1999年3月まで、社団法人日本経済研究センターに研究員として在籍し、幅広い経済分析に携わりました。次に、1999年4月からは国立社会保障・人口問題研究所に移り、社会保障基礎理論研究部の第二室長を務めました。ここでは、日本の社会保障制度の基盤に関する研究や、将来を見据えた提言に貢献し、社会保障分野における専門性を深める重要な時期となりました。

2006年4月には、教育・研究機関としての大学に活動の場を移し、千葉大学法経学部の助教授に着任しました。翌年の2007年4月には准教授となり、学生指導と研究活動に邁進します。そして、2011年10月からは同学部の教授に昇進しました。その後、2014年4月には学部が法政経学部に改組されましたが、引き続き教授として、現代経済や社会保障に関する教育・研究の第一線で活躍しています。大学での職務と並行して、2012年10月から2013年7月にかけては、アメリカの全米経済研究所において客室研究員として在外研究を行い、国際的な研究交流を通じて視野を広げました。さらに、近年では、2023年4月に発足したこども家庭庁において、こども家庭審議会の委員を務めるなど、自身の専門知識を社会政策の実践に活かす活動にも積極的に取り組んでいます。

大石教授の研究は、労働市場の動向と社会保障制度のあり方を経済学的に分析することに重点を置いています。初期には『取引仲介業の産業組織論』（日本経済研究センター、1991年）のような産業構造に関する単著もありますが、キャリアを通じて社会保障、特に家族支援や少子化対策といったテーマに深く関わっています。共著として発表された主な著作には、『子育て世帯の社会保障』（東京大学出版会、2005年）や、『実効性のある少子化対策のあり方』（日本経団連出版、2015年）などがあり、これらは日本の少子化という喫緊の課題に対して、経済学や社会保障論の視点から深く掘り下げた内容となっています。他にも、『人口減少・環境制約下で持続するコミュニティづくり』（千葉日報社、2012年）や、『社会と健康 健康格差解消に向けた統合科学的アプローチ』（東京大学出版会、2015年）といった著作からもわかるように、社会保障が単なる経済問題に留まらず、地域社会の維持や人々の健康といった多岐にわたる社会的側面と関連しているという広い視野を持っています。これらの著作群は、彼女の研究が理論的な分析に加えて、現実の社会課題の解決に向けた実践的な示唆に富んでいることを示しています。

ちなみに、大石亜希子教授の実父は、著名な経済学者であり、横浜市立大学名誉教授であった佐藤経明氏です。このように、経済学との関わりは家族的な背景にも根差しています。大石教授は、研究機関、大学、そして政策決定に関わる場での豊富な経験を通じて、労働経済学と社会保障論の分野で、学術的な貢献と社会への貢献の両立を目指している研究者と言えるでしょう。

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