大社造

大社造（たいしゃづくり）

大社造は、日本における伝統的な神社建築様式の一つであり、特に出雲大社がその代表として知られています。その独特の形状と構造は、古代からの神社建築の系譜を現代に伝える重要な文化的遺産となっています。

概要

大社造は、伊勢神宮の神明造や住吉大社の住吉造と並ぶ、日本最古の神社建築様式の一つとされています。神明造が直方体であるのに対し、大社造はほぼ正方形の「田の字」形で構成され、古典的な日本家屋に似ています。この形状は、祭祀に用いられた宮殿が社殿へと発展した結果と考えられ、出雲大社の背後にある八雲山が神体と見なされることからも、大社造の由来が垣間見えます。

出雲大社の社殿は、鎌倉時代以前の記録が存在しないため、1744年に建立された現社殿がその基本的な形態とされています。

構造

大社造は掘立柱構造で、切妻屋根が特徴的です。屋根には優美な曲線が施され、直線的な外観を持つ他の様式とは一線を画します。また、入り口が右側に配置されている点も特筆されます。

屋根

屋根は古くは茅葺（かやぶき）でしたが、江戸時代以降は出雲大社が檜皮葺に改められたりと変化が見られます。神道の寺院建築が瓦屋根を採用したのに対し、神社建築では瓦屋根が好まれていません。屋根の曲線は、中国の文化の影響を受けており、独特の美しさを醸し出しています。

柱と壁

初期の大社造では柱の下には礎石も土台もない掘立柱でしたが、1744年の出雲大社では礎石の上に柱が立てられ、耐久性が向上しています。壁の構造は、水平方向に板材を配する神明造に対し、大社造では垂直方向に板を使用します。

内部空間

社殿の内部は心御柱を中心に上下に分かれ、最も重要な御神体が鎮座する御内殿は、入り口から最も遠い場所に位置します。内部は男造（おづくり）、女造（めづくり）の二つの構造を持つことも特徴です。男造では御神座が右奥に、女造では左奥に配置され、御神体の向きも異なります。

歴史

大社造の歴史は古いですが、具体的な建築様式に関する記録はあまり残されていません。弥生時代の遺跡に大社造によく見られる柱の配置が見つかることから、古代の高床建築が基礎になっていると考えられています。

出雲大社の現在の社殿は約24メートルの高さを有し、過去には倒壊を繰り返してきた歴史もあります。例えば、平安時代中期には、自重が原因とみられる倒壊が記録されています。近年でも、21世紀に現存する大社造の中で、島根県にある神魂神社が最古の建物として国宝に指定されています。

主な大社造の神社

• - 男造の神社:

- 出雲大社
- 熊野大社
- 佐太神社
- 八重垣神社
- 六所神社

• - 女造の神社:

- 神魂神社
- 揖夜神社

大社造は日本の神社建築の中で特異な位置を占め、出雲大社や熊野大社などの男神が主祭神である神社と、神魂神社や揖屋神社のように女神を祀る女造の神社が混在している点が、文化的にも意義深いものとなっています。

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