揖夜神社

揖夜神社について



揖夜神社（いやじんじゃ、いふやじんじゃ）は、島根県松江市東出雲町揖屋に位置する神社で、意宇六社の一つとして知られています。もともとは郷社として存在していましたが、後に県社に昇格しました。この神社は、記紀神話に現れる重要な場所である黄泉比良坂の近くにあることでも有名です。隣接する安来市の比婆山には、古事記に記載された伊邪那美神の神陵が存在し、揖夜神社との関連性があります。

祭神について



この神社の主祭神は伊弉冉命であり、その他にも大己貴命、少彦名命、事代主命、武御名方命、経津主命といった配神が祭られています。これらの神々は、古代から伝わる神話や伝説に深いかかわりがあり、地域の人々に信仰されています。

歴史的背景



揖夜神社は、その歴史において重要な役割を果たしてきました。『日本書紀』の斉明天皇5年の記載には「言屋社」に関する言及があり、これが神社との関連性を示唆します。また、『出雲国風土記』や『延喜式神名帳』にも触れられており、611年の貞観9年には従五位上、さらに数年後には正五位下に昇叙されたことが文書に記録されています。

南北朝時代には「揖屋大社」と称され、戦国時代からは「揖屋大明神」と呼ばれるようになりました。平安時代末から南北朝時代には、荘官の大宅氏が神職を担い、室町時代以降は出雲国造の命を受けた秋上氏が引き継いでいました。現在の神職は井上氏が担い、出雲国造家からの奉幣を受けることが伝統として続いています。

社殿の構造



揖夜神社の社殿は大社造りで設計されていますが、内部の配置は出雲大社とは異なっています。この独特な構造は、建築様式の違いとともに、神社の歴史的な背景を反映しています。

祭礼行事



揖夜神社では、数々の祭礼行事が行われています。特に重要な祭礼には以下のものがあります：
  • - 御田打祭（1月3日）
  • - 御田植祭（5月28日）
  • - 穂掛祭（8月28日）
  • - 例祭（10月19日）

穂掛祭は特に伝統的なもので、前日の27日に神職は聖地で禊を行い、その後に神饌を準備します。当日は境内の各所に神饌を奉げるのに加え、神輿を舟で一ツ石まで運び、神饌を捧げる「一ツ石神幸祭」が行われます。

記紀神話との関わり



揖夜神社は神話とも深く結びついており、特に黄泉比良坂は神産みや大国主に関連する重要な場所とされています。この地には、黄泉の国との境を示す石碑も立っており、神話を辿る訪問者に神秘的な体験を提供しています。また、阿遅志貴高日子根神が天若日子の喪屋を切り倒したとされる場所でもあり、神社の神聖な歴史を体感することができます。

参考文献



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