大般涅槃経 (上座部)

大般涅槃経の概要

『大般涅槃経』（だいはつねはんぎょう）、またの名を『マハーパリニッバーナ・スッタ』（Maha-parinibbana Sutta）と呼ばれるこの経典は、パーリ仏典の経蔵長部に収められている第16経です。これは上座部仏教の重要な教えを含む文献であり、釈迦の生涯の最後の日々が記録されています。仏教においては、釈迦が80歳で王舎城の霊鷲山を出発し、マッラ国のクシナーラーで入滅に至るまでの様子が詳細に描写されており、多くの教義が含まれています。

時代背景と内容の導入

釈迦の最後の旅の時期は、マガダ国のアジャータサットゥ王がヴァッジ国に対して攻撃を仕掛けていた歴史背景があります。本経はアジャータサットゥ王が釈迦に侵略計画を相談するところから始まり、その時代の政治的、社会的状況が深く反映されています。また、物資の物流拠点であったパータリ村が侵略拠点として発展する様子も記録されています。

経典の構成

『大般涅槃経』は以下のように6つの章構成になっています：

• - 第1章 霊鷲山から旅立つまでの教えや説法
• - 第2章 コーティ村やナーディカ村での釈迦の教え
• - 第3章 死の決意と悪魔との対話などの物語
• - 第4章 バンダ村と教義の伝達
• - 第5章 釈迦の病とアーナンダの感情
• - 第6章 最後の言葉と死を悼む出来事

詳細な内容

経典には、釈迦が霊鷲山に留まる間に多くの修行僧を集め、仏教の基本的な教えを反復して伝える様子が描かれています。特に、「衰亡を来たさないための7つの法」は、信者たちにとって重要な教訓となっています。これらの法を守ることで、繁栄が保たれるとの教えが込められています。

釈迦はさらに、戒律や精神統一、智慧などを重視し、その教えが比丘や在家信徒にとっての指針となるよう、様々な話を展開しました。彼は度々、「衆」との協調や古老への敬意、霊域への崇敬を説き、これらが社会の安定につながることを強調しました。

旅の途中、釈迦は数人の信徒や聴衆と対話し、彼らの理解を深めると共に、病に苦しむ自身の姿を見せていきます。そして、最期の準備が整い、重大な決意を持ってクシナーラーへと向かう様子が詳細に描かれています。

最後の教え

最終的に、釈迦はクシナーラーの沙羅双樹の下で命を終えることになります。彼の死は、地震や雷鳴を伴う大きな出来事として記録され、周囲の者たちが深い悲しみを覚えます。釈迦の最後の言葉として「怠ることなく修行を完成しなさい」というメッセージが残され、彼の教えは未だに多くの仏教徒にとっての指針とされています。

死後の出来事

釈迦の死後、彼の遺骨をどう扱うかでの混乱と争奪戦が繰り広げられ、各地にストゥーパが築かれることとなりました。この経典は、釈迦の最後の教えやその影響、また、仏教の普及の足跡を追う上で欠かせない資料となっています。『大般涅槃経』は、釈迦の知恵と慈悲が根付いた内容で、多くの教徒に影響を与え続けるでしょう。

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