大衆金融公庫

大衆金融公庫

大衆金融公庫は、1954年に制定された大衆金融公庫法に基づき、琉球政府が設立した政策[[金融機関]]です。全額琉球政府の出資によって運営され、沖縄住民の生活向上と地域経済の発展を目的としていました。

設立の背景と目的

戦後の沖縄は、経済的に厳しい状況にありました。そのため、住民が生業を立てるための資金や、中小企業が事業を拡大するための資金を、円滑に供給する機関が必要とされていました。大衆金融公庫は、このような状況下で、住民の生活基盤を安定させ、中小企業の成長を促進するために設立されました。

業務内容の変遷

当初、大衆金融公庫は、小口の生活資金を融資する業務を中心に行っていました。しかし、経済情勢の変化や社会のニーズに対応するため、徐々に業務内容を拡大していきました。1964年には、中小企業向けの融資制度が設けられ、その後も、災害貸付や近代化資金貸付など、様々な貸付制度が新設されました。また、住宅建設資金貸付や運搬船建造資金貸付など、琉球政府からの受託業務も行いました。

主な貸付業務

大衆金融公庫は、以下のような貸付業務を行っていました。

第一種貸付（生業資金貸付）: 住民が生活を営むための資金を融資する制度です。
第二種貸付（中小企業貸付）: 中小企業が事業を運営・拡大するための資金を融資する制度です。
近代化資金貸付: 企業の設備近代化を支援するための資金を融資する制度です。
電気・ガス貸付: 電気やガス設備の導入を支援するための資金を融資する制度です。
恩給貸付: 恩給受給者を対象とした資金を融資する制度です。
記名国債貸付: 記名国債を担保にした資金を融資する制度です。
災害貸付: 災害によって被害を受けた個人や企業を支援するための資金を融資する制度です。
個人住宅貸付: 個人が住宅を建設するための資金を融資する制度です（琉球政府からの受託業務）。
運搬船建造資金貸付: 運搬船を建造するための資金を融資する制度です（琉球政府からの受託業務）。
設備近代化資金貸付: 企業の設備近代化を支援するための資金を融資する制度です（琉球政府からの受託業務）。

組織と運営

大衆金融公庫の運営は、総裁を中心に行われました。歴代の総裁は以下の通りです。

初代：宮里勝（1954年11月29日 - 1958年7月7日）
2代：平良辰雄（1958年7月7日 - 1963年11月29日）
3代：崎間敏勝（1963年11月30日 - 1967年7月12日）
4代：小波蔵政光（1967年7月12日 - 1968年5月23日）
5代：山川宗英（1968年5月31日 - 1969年11月29日）
6代：伊地秩雄（1969年12月1日 - 1972年5月14日）

日本復帰とその後

1972年5月15日の沖縄返還に伴い、大衆金融公庫の業務は、新たに設立された沖縄振興開発金融公庫に引き継がれました。大衆金融公庫は、沖縄経済の発展に貢献し、その役割を終えました。

関連事項

沖縄振興開発金融公庫
琉球政府
公庫
国民生活金融公庫

参考文献

大衆金融公庫編『10年のあゆみ』大衆金融公庫、1965年
大衆金融公庫誌編纂委員会編『大衆金融公庫誌』大衆金融公庫、1972年

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