崎間敏勝

崎間敏勝：琉球独立運動に生涯を捧げた政治家

崎間敏勝（さきま びんしょう）は、1922年（大正11年）8月23日に沖縄県那覇市首里で生まれ、2013年（平成25年）4月5日にその生涯を閉じました。彼は、沖縄の政治史において特筆すべき人物であり、琉球独立運動に深く関わった政治家として知られています。

生い立ちと初期の活動

幼少期から「神童」と称された崎間は、旧制第一高等学校を経て東京帝国大学法学部政治学科に進学しました。しかし、故郷沖縄への強い使命感から、1944年（昭和19年）に大学を中退して帰郷します。その後、琉球政府のエリート官僚として、法務局長、行政主席官房長、内政局長といった要職を歴任しました。1963年には大衆金融公庫総裁に就任するなど、行政手腕を発揮しました。

沖縄時報の創刊と「沖縄人の沖縄をつくる会」

1967年、崎間は「本土復帰」論を推進する『琉球新報』や『沖縄タイムス』を批判し、独自の視点を持つ新聞『沖縄時報』を創刊しました。彼は社長として、沖縄の現状を憂い、独立の必要性を訴えました。1968年には、保守派の西銘順治を支持した人々が中心となり、「沖縄人の沖縄をつくる会」が発足し、崎間は事務局責任者として活動しました。この会は、「沖縄は沖縄人のものだ！」というスローガンを掲げ、大々的な広告キャンペーンを展開しましたが、メディアからの圧力や有力者の脱退により、短期間で解散へと至りました。

琉球独立党の結成と参議院選への挑戦

「沖縄人の沖縄をつくる会」の解散後も、崎間は独立への意志を諦めませんでした。彼は野底武彦、山里永吉らと共に「琉球独立党」を結成し、党首として活動しました。1971年には、本土復帰を目前に控えた状況下で、参議院議員選挙に立候補し、「沖縄独立」を訴えました。選挙の結果は、18万票以上を獲得した上位2名には及ばなかったものの、2673票を得て、その強い意志を示しました。琉球新報は彼の得票数を「完全な意識票」と評価しました。

崎間敏勝の生涯と遺産

崎間敏勝の生涯は、琉球独立運動という、困難な道を歩んだものでした。彼は、琉球政府の官僚として行政に携わる一方、新聞社を設立し、言論の力で沖縄の未来を切り開こうとしました。また、政治家として、選挙を通じて独立の理念を訴え続けました。彼の活動は、沖縄のアイデンティティを追求し、本土復帰後の沖縄社会にも大きな影響を与えました。

崎間敏勝は、激動の時代を生き、沖縄の未来を真剣に考え続けた人物として、その名は長く語り継がれるでしょう。

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