大谷光紹

大谷光紹（おおたに こうしょう）

大谷光紹は、1925年（大正14年）に生まれ、1999年（平成11年）に75歳で逝去した浄土真宗の僧侶です。浄土真宗東本願寺派の第25世法主であり、東京都台東区にある東本願寺（当時は東京本願寺）の住職を務めました。幼名は光養麿、雅号は愚苑、院号は無稱光院、法名は興如です。皇室とのつながりも深く、上皇の従兄、今上天皇の従伯父にあたります。

生い立ちと学歴

大谷光紹は、東本願寺第24世法主の大谷光暢（闡如）の長男として誕生しました。母は久邇宮邦彦王の三女で、香淳皇后の妹にあたる大谷智子です。1934年（昭和9年）に真宗大谷派の法嗣（法主後継者）として得度し、僧侶としての道を歩み始めました。1946年（昭和21年）には京都大学文学部史学科を卒業し、その後、アメリカのハーバード大学やコロンビア大学などに留学し、海外の文化や宗教にも触れ、見識を広めました。

結婚と破談

1949年（昭和24年）には、昭和天皇の第三皇女である孝宮和子内親王（光紹の従姉妹）との婚約が報じられましたが、後に破談となりました。和子内親王は後に鷹司平通と結婚しています。1964年（昭和39年）には、真宗誠照寺派第28世法主の二条秀淳の長女である二条貴代子と結婚しました。

宗教活動と東本願寺独立

帰国後は、全日本仏教青年会の初代会長や、真宗大谷派児童教化連盟の総裁などを務めました。また、1966年（昭和41年）には東京本願寺の住職に就任し、次世代のリーダーとして期待を集めました。しかし、その後、教義や教団の運営方針、財産問題などを巡り、教団内で保守派と改革派の対立が表面化しました。特に、大谷光暢が京都の東本願寺を真宗大谷派から独立させると表明したことが大きな転換点となり、1981年（昭和56年）には自身が住職を務める東京本願寺も真宗大谷派から独立させました。1988年（昭和63年）には東本願寺第25世法主の継承を宣言し、真宗大谷派から独立した約300ヶ寺の末寺と共に「浄土真宗東本願寺派」を結成、東京本願寺を本山としました。この出来事は「お東騒動」として知られています。

晩年と著書

1999年（平成11年）12月24日に75歳で逝去。長男の大谷光見が後を継ぎ、東本願寺派の第26世法主となりました。

大谷光紹は、多くの著書も残しており、宗教に関する深い知識と洞察力を示しています。

主な著書には、

『＜弥陀＞をたのめ－本願は未来をひらく』（春秋社・2005年）
『歎異抄講座・第3巻 』共著（彌生書房・1971年）
『こころの軌跡－わが信仰と思索』（講談社・1967年）
『真宗と人間－大谷光紹集』（教育新潮社・1966年）
『現代に生きる宗祖親鸞－正像末和讃入門』（サンケイ新聞出版局・1966年）
『南無阿彌陀佛の心』（春秋社・1964年）
『現代しんらん講座・第1巻』共著（普通社・1963年）
『現代人の佛道』（文化時報社・1961年）

などがあります。

これらの著書は、大谷光紹の思想や信仰を深く理解する上で重要な資料となっています。その生涯は、宗派の独立という大きな転換期に、リーダーシップを発揮し、新たな宗派を創設した人物として、後世に語り継がれています。

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