大谷晃

大谷晃（おおたに あきら）

大谷晃は、1906年10月9日 - 1963年2月22日にかけて活躍した日本の柔道家です。講道館9段、大日本武徳会教士という称号を持ち、戦前・戦後の柔道界において重要な役割を果たしました。

経歴

広島県出身の大谷は、中外商業学校（現在の県立尼崎北高校）と大日本武徳会大阪支部で柔道を学びました。1924年、17歳で講道館に入門し、わずか半年後には初段を取得。その後も順調に昇段を重ね、1927年には4段に昇進しました。

身長157cmと小柄ながら、体重89kgという恵まれた体格から繰り出す右の背負投を得意とし、数々の大会で優秀な成績を収めました。1927年の第4回明治神宮大会柔道競技では、個人戦で牛島辰熊に敗れたものの2位、団体戦でも2位という結果を残し、その名を知らしめました。

その後、大阪府警察部や大日本武徳会大阪支部、熊本県第一師範学校などで柔道指導にあたり、1929年の第5回明治神宮大会柔道競技では個人戦・団体戦ともに優勝を果たしました。1932年には樺太庁警察部および武徳会樺太支部の柔道教師に任命され、翌年には柔道教士の称号を授与されました。

1934年5月5日には、皇太子殿下御誕生奉祝武道大会に指定選士として出場。菊池揚二や遠藤清、牛島辰熊といった強豪を相手に勝利を収め、決勝では神田久太郎を背負投で破り、見事優勝を果たしました。

この昭和天覧試合での優勝は、大谷の柔道家としてのキャリアにおいて特筆すべき出来事です。樺太という環境で、一人黙々と稽古に励み、日本一の栄誉を勝ち取ったことは、多くの人々に感動を与えました。

その後、大谷は上京し、警視庁や拓殖大学で後進の指導にあたりました。木村政彦や平野時男など、戦中派と呼ばれる世代の大家たちを育て上げました。大阪府に移ってからは、府警柔道師範として後進の指導に尽力しました。

1963年2月、神戸YMCA体育館で開かれた日ソ親善レスリング・柔道対抗大会において、橋春夫とオレグ・ステパノフとの試合で主審を務めましたが、試合中に体調を崩し、控室に向かう途中で心臓麻痺により急逝しました。享年57歳。

その功績を讃え、講道館は亡くなる前日の2月21日付で9段位を追贈しました。

大谷晃は、その柔道技術と指導力で、戦前・戦後の柔道界に大きな影響を与えた人物として、記憶されています。

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