大豐和紙工業

大豐和紙工業株式会社について

大豐和紙工業株式会社（たいほうわしこうぎょう）は、三重県伊勢市に位置する唯一の和紙製造メーカーです。当社は、全国手すき和紙連合会に所属し、伝統的な手法で伊勢和紙を製造しています。特に、伊勢神宮の神宮大麻に使用される神宮御用紙の製造を手掛け、多くの寺社に向けて和紙を提供しています。また、1994年には三重県の指定伝統工芸品として伊勢紙が認定され、一層の注目を浴びることとなりました。

会社の由来と歴史

大豐和紙工業の起源は1871年に遡ります。この年に太政官の布告によって御師制度が廃止され、有志たちが伊勢市岩淵に製紙工場を設立しました。その後、1883年には合名会社殖産組が設立され、大麻用紙の製造が始まりました。この流れの中で、いくつかの製紙会社が誕生し、1899年には神宮御用紙の製造を一手に担う神都製紙株式会社が創立されました。

1911年には工場を拡張し、1917年には現在ある工場敷地となる旧御師龍大夫邸を取得しました。以降、工場の増設が続き、1928年には昭和天皇御即位を記念した御用紙を献上するまでに成長しました。1947年には社名を「大豐和紙工業株式会社」に改称し、2003年には伊勢和紙館と伊勢和紙ギャラリーを開業しました。

製品について

大豐和紙工業は、神宮御用紙を中心に多様な和紙製品を製造・販売しています。具体的には、

• - 神宮大麻用紙
• - 守り用紙
• - 神宮暦用紙
• - 海藻や杉皮を使用した手すき工芸紙
• - インクジェットプリンタ用の和紙

これらは特に、作品制作や商業印刷にも使用され、1100mm×2400mmの大判手すき和紙も生産されています。

加えて、オリジナルの和紙小物としては、はがきやびんせん、封筒なども取り揃えています。これらの製品は、伝統的な技術を駆使しながらも、現代的なニーズにも応える形で展開されています。

製法と技術

製品の製造方法には、手漉きと機械抄紙があり、両方の技術を活用しています。機械抄き和紙には懸垂短網ヤンキー抄紙機が一基あり、手漉きの部門では三槽が用いられています。和紙の製造に関しては、長い歴史の中で培われた技術が今なお生き続けており、職人たちの技によって高品質の和紙が生まれています。

文化的な重要性

当社の社地は、かつて御師龍大夫邸として利用されていた場所であり、伊勢神宮の御師としては最大規模であったと言われています。この歴史的な背景は、当社がどれほど地域の文化や伝統に根差しているかを物語っています。敷地内には1880年に明治天皇が滞在した史跡も存在し、多くの観光客にも訪れられています。

まとめ

大豐和紙工業株式会社は、伝統的な手法による和紙製造で、伊勢市の文化を支える重要な役割を果たしています。今後も、地域の文化を守りながら、高品質な和紙製品を提供し続けることで、さらなる発展を目指している企業です。

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