大達羽左エ門

大達 羽左エ門（おおだて うざえもん）

大達羽左エ門は1854年1月13日、現在の山形県鶴岡市で誕生した元大相撲力士であり、本名は諏訪 辯治（すわ べんじ）です。彼は5代千賀ノ浦を名乗り、最高位は西大関でした。大達は幼い頃から地元の土地相撲で優れた成績を残し、多くの村民から「鬼童」と称賛を受けましたが、彼の性格や大食漢の特性が原因で家業に専念できず、養子先からも離縁されました。その後、彼は上京し、立田川部屋に入門しました。

初めての土俵出場は1873年12月場所で序二段の地位でしたが、素行不良から脱走し新潟県をさまよった後、村上で酒造家に仕えながら再び土俵に戻ることになりました。1877年、偶然にも高砂改正組の巡業が村上で行われ、初代高砂から見出された大達は高砂部屋に再入門しました。しかし、彼の師匠である朝日嶽鶴之助はこれに激怒し、大達を叱責しました。この時、大達は髷を切り落とし、丸坊主となりました。

大達の番付に初めて名前が載ったのは1879年6月のことで、この時は二段目の地位にありました。1882年には新入幕を果たし、彼の持ち歌である豪快な取り口が観客を魅了しました。特に、彼の強靭な体格は相撲界でも際立っており、相手の腕を噛むことでその力を証明した逸話も残っています。

1884年には明治天皇の前で行われた天覧相撲にも出場しました。特に、梅ヶ谷藤太郎との取組は両者のデッドヒートが続き、30分を超える戦いの末に引き分けとなり、天皇に大いに喜ばれる結果となりました。この取組は、その後の東京相撲を象徴する名試合として語り継がれています。

同年5月場所では小結へ昇進し、天覧相撲での再戦となる梅ヶ谷との対戦も実現。大達はその試合で見事に勝利し、周囲の注目を集めました。その後の経歴の中で、数々の困難に直面しながらも、自身の力士としての地位を確立しました。

1885年には再度の波乱が訪れます。大達は番付について不満を抱き、師匠の高砂に対して感情的に反発。結果として破門となりましたが、その後、詫び入れにより番付に復帰しました。しかし、大達の声望は次第に落ち、1886年には新大関に昇進したものの、酒量が過ぎた影響で体調を崩し、連続して全休することになります。

彼の現役生涯の間、多くの名勝負を繰り広げたことにより、ファンからは強い支持を受けました。しかし、最終的には1904年8月17日に50歳という若さでこの世を去りました。弟子を持つ年寄として千賀ノ浦を襲名し、後進の育成に努めましたが、彼の力士時代から続く特異な経歴とその非凡さは、今尚多くの人に語り継がれています。彼の明るい人柄と反面教師としての教訓に、相撲界に関わる者たちは多くの価値を見出しているのです。

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