大里王統

大里王統について

大里王統（おおさとおうとう）は、沖縄の南山王国に属する王家で、歴史的に重要な役割を果たしてきました。当王統は、前期には島添大里（現在の南城市大里）を、後期には島尻大里（現糸満市北部）を拠点とし、各時代にわたりその影響力を広げました。

王統の歴史

この王統の初代は承察度（ショウサット）で、1337年から1398年まで在位していました。彼は60年もの長い間政権を握り、明に朝貢を行ったことでも知られています。承察度は汪英紫の叔父でもあり、汪英紫は彼の後を継いで1398年から1402年まで王位を守りました。そして、汪英紫の次男である汪応祖がその後、1402年から1413年まで王位についていました。

次に登場するのが達勃期（1413年から1414年）で、汪英紫の長男です。彼の在位期間は非常に短く、後に汪応祖の長男である他魯毎（1415年から1429年）が続きます。他魯毎の正確な出自については諸説あり、汪応祖の子であると一般的に考えられていますが、尚巴志の長男や、朝鮮に亡命した承察度の子供であるという説も存在しています。

二重王国体制

1388年以降、八重瀬按司（オウエイシ）は自ら明に朝貢船を送るようになりました。このことから、山南の地域では大里王統と八重瀬按司の二重王国体制が確立したと考えられています。内紛や中山との外部からの攻撃が続いた時期であり、この時代には多くの政治的動乱があったことが推察されます。

特に1398年に朝鮮で亡命していた山南王温沙道が亡くなったことも、当時の政治に影響を及ぼしたとされており、承察度についてや汪英紫に敗れたという説が流布しています。

王位の継承

汪応祖は、実兄である達勃期によって命を奪われますが、達勃期自身が正式に王位に就いていたかどうかは定かではありません。これにより、大里王統内の権力闘争の激しさが窺えます。

現在の研究

近年、漢文学者の石井望が大里王統について新たな視点を提供しています。彼は福建漢字音に基づき、承察度が「新里」や、汪英紫が「おんあんじすい」、汪応祖が「おんあんず」といった解釈を行い、従来の理解を超えた新しい視角を解析しています。これにより、南山王統の文化的背景や王位継承についての理解が一層深まることを期待されています。

歴史的な文献や資料が散見される中で、大里王統の存在は沖縄の歴史や文化にとって重要な要素であり、今後もさらなる研究が求められるテーマです。

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