大野勇 (高知市長)

大野 勇の生涯と業績

大野勇（おおの いさむ、1880年1月10日 - 1973年11月5日）は、日本の政治家として知られ、高知市長や財団法人板垣伯銅像記念碑建設同志会の第8代会長を務めました。彼は教育者である父・大野直賢の長男として高知県高岡郡別府村（現在の仁淀川町）に生まれ、母は中越常太郎の長女、梅代でした。

教育と初期のキャリア

大野勇は高知師範学校を卒業後、中等教員検定試験に合格し、教育者としての道を歩みました。彼は台湾に渡り、台湾総督府立中学や松本中学などで教壇に立ちました。その後、京都市役所に入所し、視学や社会課長として市の運営に関与することになります。1928年には市政研究の一環として欧米に出張し、パリの市営競馬や清掃制度、市場研究などを学びました。

帰国後、彼は京都中央市場の設立に貢献し、市場の初代市場長に就任しました。その後、京都市助役の職位に昇進し、政治家としての基盤を固めていきました。

高知市長としての業績

1941年、大野勇は高知市の市長に就任します。この年の暮れには、支那事変が拡大し、大東亜戦争が始まります。このような歴史的背景の中で、彼は市の発展と住民の福祉を守るために奔走しました。特に、1942年には高知市が周辺の10ヶ町村を合併し、市の域を拡大することなどを実現しました。

彼の市政運営は、国家総動員体制の中での困難を乗り越えるものでしたが、戦況が悪化する中、彼は高知市も空襲を受けるという厳しい状況に直面しました。特に1945年7月4日に起きた高知大空襲では、市民の安全を守るための対策が求められました。戦争が終わると、大野は市長職に留まりましたが、公職追放の性質から、1946年に辞職を決意しました。

家系と文化的貢献

大野勇の家系は古く、先祖は伊予国大洲の亀の城主・大野直之に遡ります。直之は河野弾正の娘を妻に迎え、土佐国吾川郡森山に居を構えました。その子孫は長曾我部氏に仕え、小野姓に改名した者もいます。こうした歴史的な背景を持つ大野は、地域の伝統に重きを置き、毎年の例祭に参加するなど、家業や文化への貢献も続けました。

著作活動も行い、彼の著書には『喜寿・凡語』（昭和32年）や『わたくし』（昭和38年）があり、これにより彼の思想や人間観が後世に引き継がれています。

結論

大野勇は、顕著な政治家でありながら、教育者としての側面も持っていた人物です。彼の高知市長としての業績は、戦後における地域の発展に大いに寄与し、後世に名を刻んでいます。

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