大野勝巳

大野勝巳の生涯と外交の軌跡

大野勝巳（おおの かつみ）は、1905年4月6日に北海道浜中町で生まれた著名な外交官です。農家の息子として育った彼は、立教中学校や東京外国語学校を経て、1929年に京都帝国大学経済学部を卒業しました。大学を卒業した同年、外務省に入省し、日本の外交の世界への第一歩を踏み出しました。

初期の経歴

外務省での同期には、後の外交官として名を成す朝海浩一郎や山田久就がいました。大野は外務省の多くの部署で経験を積み、外相秘書官や終戦連絡中央事務局の賠償部長を歴任しました。1948年には総務局長、翌年には政務局長に任命され、1952年には参事官としてさらなる役割を果たしました。

フィリピンとの賠償交渉

1953年、大野はマニラに赴任し、フィリピンとの賠償交渉に従事しました。この交渉中に、フィリピン副大統領で外相のカルロス・ガルシアとの間で「大野・ガルシア覚書」が交換されました。しかし、この協定案はフィリピン国内の強い反対に遭い、結局破棄となりました。この経験は、日本とフィリピンとの外交関係における困難さを象徴するものでした。

駐外勤務と主要ポジション

その後、大野は1955年から駐オーストリア公使、1956年からは駐西ドイツ大使として活躍しました。1957年には外務事務次官に就任し、外交資源の調整と戦略の策定に貢献しました。1958年から1964年までは駐イギリス大使を務め、晩年は外務省顧問としてその知識と経験を活かしました。

企業での活動と受賞歴

外交官としての長いキャリアを経て、1967年にはシェル石油の副社長に就任しました。また、1972年から1976年には帝国ホテルの社長を務め、1977年から1980年まで日本国際問題研究所の理事長としても活動していました。これらの役職では企業活動の国際的な側面に携わり、幅広い視野での経済政策に貢献しました。

大野はその業績を通じて、多くの勲章を受け、1975年には勲一等瑞宝章を授与されました。さらに、2006年には叙従三位の栄誉も受けています。

晩年と死去

大野勝巳は2006年9月1日に老衰により101歳で亡くなりました。彼の生涯は、日本の外交の歴史の中で重要な一幕を刻んでおり、その貢献は現在も多くの人々に語り継がれています。

著作活動

大野は、外交や国際関係に関する著作も多く残しました。特に、1942年の『アメリカの對南米政策　朝日時局新輯』や、1978年の『霞ヶ関外交』、さらには1984年のダグラス・ヒュームとの共著『孫への手紙　二度の大戦からの外交的教訓』などが挙げられます。彼の著作は今もなお、外交についての貴重な教訓を提供しています。

結び

大野勝巳は、戦後の日本における重要な外交官として、国内外に多大な影響を及ぼした人物であり、その業績は日本の外交の歴史においても継続的に評価されています。

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