大門坂

大門



大門は、和歌山県那智勝浦町に位置する、熊野那智大社へと続く古道です。この道は、熊野古道の中でも特に昔の雰囲気を色濃く残している場所として知られています。全長約1kmの石段と石畳の道は、那智勝浦町市野々から那智山へと続いており、その歴史的な価値と美しい景観から多くの人々を魅了しています。

歴史と由来


かつて大門の入り口には大門が設けられ、通行税が徴収されていたことが、その名前の由来とされています。現在は那智勝浦町道大門線として、那智勝浦町によって管理されています。

景観と自然


大門の入り口には、まるで門のようにそびえ立つ夫婦杉があります。この夫婦杉は高さ54.5m、胸高幹周8.5m、枝梁13mにも及び、訪れる人々を圧倒します。夫婦杉をくぐり、九十九王子の一つである多富気王子を横目に進むと、樹齢数百年の杉木立が続く石畳の道が広がります。杉並木は、樹齢200年から300年を超えるものが多く、中には約800年と推定される古木も存在します。この杉並木は、県の天然記念物にも指定されており、その美しい景観は訪れる人々を魅了してやみません。石畳は苔むしており、杉木立の中は昼間でも木漏れ日が差し込む程度で、静寂な雰囲気が漂っています。

大門の見どころ


大門の途中には、南方熊楠が3年間研究のために滞在した「大阪屋旅館跡」や、かつて通行料を徴収していた関所「十一文関跡」があります。これらの史跡は、大門の歴史を物語る上で重要な役割を果たしています。を上りきったところには、西国三十三所観音霊場の第一番札所である那智山青岸渡寺と、熊野三山の一つである熊野那智大社が隣接して建っています。また、日本一の落差を誇る那智滝もすぐ近くに位置しており、これらの名所を巡る観光客で賑わっています。

日本の道100選


大門の杉並木は、霊場那智山の象徴として、1986年に「日本の道100選」にも選ばれています。これは、旧建設省と「道の日」実行委員会によって制定されたもので、その歴史的・文化的価値が認められた証です。

イベント


毎年10月には、大門で「あげいん熊野詣」というイベントが開催されます。このイベントでは、時代衣装をまとった人々が列を成して大門を歩き、古の熊野詣の様子を再現します。このイベントは、大門の歴史と文化を体感できる機会として、多くの観光客に人気です。

アクセスと周辺情報


大門へのアクセスは、JR紀伊勝浦駅から熊野御坊南海バスに乗り、大門または熊野古道バス停で下車するのが便利です。周辺には、紀の松島や南紀勝浦温泉、狼煙半島などの観光名所もあります。大門は、歩きやすい距離で駅からのアクセスも良いため、多くの観光客に人気のスポットとなっています。

路線データ


路線名: 那智勝浦町道大門
区間: 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字市野々 - 那智勝浦町大字那智山
延長: 1.0km

脚注


参考文献: 「日本の道100選」研究会 著、国土交通省道路局(監修) 編『日本の道100選〈新版〉』ぎょうせい、2002年6月20日。

関連項目


紀伊山地の霊場と参詣道
熊野信仰
熊野那智大社
飛瀧神社
那智滝
熊野三所大神社
補陀洛山寺
熊野古道 - 中辺路 - 雲取越え
九十九王子 - 多富気王子
日本の道100選

外部リンク


那智勝浦観光協会 大門)
熊野那智大社)

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