青岸渡寺

青岸渡寺（せいがんとじ）

青岸渡寺は、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町にある天台宗の寺院で、那智山を山号とし、本尊として如意輪観音菩薩を安置しています。この寺院は西国三十三所の第一番札所でもあり、本堂や宝篋印塔は重要文化財として指定されています。また、青岸渡寺は2004年にユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録されており、自然信仰の聖地としても多くの信者や観光客によって訪れています。

歴史

青岸渡寺の創建時期については明確ではありませんが、伝承によると仁徳天皇の時代（4世紀）に裸形上人が建立したとされています。彼はインドから渡来し、那智滝の滝壺から金製の如意輪観音菩薩を受け取ったとされています。その後、推古天皇からの勅願寺としても知られ、6世紀末から7世紀初にかけて生仏聖が伽藍を建設し、本尊を安置したとされています。

中世から近世にかけては、隣接する熊野那智大社と一体化し、那智山熊野権現として信仰を集め、7寺36坊の坊舎を有する神仏習合の修験道場でした。特に花山法皇が三年間過ごし、西国三十三所を巡礼したことで、青岸渡寺の重要性が増しました。

堂舎は、織田信長の兵火で焼失した後、天正18年（1590年）に豊臣秀吉によって再建されました。明治時代には神仏分離政策が進み、隣接する大社にあった仏堂が廃される中、青岸渡寺は1874年に独立して新たに「青岸渡寺」と名付けられました。

境内と文化財

青岸渡寺の境内には、473段の石段があり、参道の入口から本堂に至るまで所要約20分です。本堂は1570年頃に再建された重要文化財であり、かつては如意輪堂と呼ばれていました。また、宝篋印塔や鐘楼も重要文化財に指定されています。特に、宝篋印塔は元亨2年（1322年）の銘があるもので、高さは4.3メートルです。

他にも、那智七福神を祀る如法堂や、宿坊がある尊勝院などが境内に存在し、信仰の中心地としての役割を担っています。2023年には熊野修験那智山行者堂が再建され、多くの信者に愛されている場所です。

行事とアクセス

青岸渡寺では、毎年2月に秘仏本尊開扉、4月第2日曜には開山祭、11月第1日曜には大黒天七福神祭が行われています。これらの行事には多くの参加者が訪れ、地域の伝統文化を体験することができます。

公共交通機関を利用する際は、JR紀勢本線の紀伊勝浦駅から熊野御坊南海バス「那智山」行きで約30分の距離にある「那智山」停留所が最寄りです。また、国道42号を利用することでも訪れることが可能です。

結論

青岸渡寺は歴史深い寺院であり、多くの文化財や信仰の場としての価値がある場所です。訪れることで、自然との調和や日本の伝統的な宗教文化を感じることができるため、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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