大阪層群

大阪層群について

大阪層群（おおさかそうぐん）は、約300万年前から数十万年前までの期間に、近畿地方で形成された地質層です。この地層は、内部が細かく分かれており、大阪平野や播磨平野、さらには京都盆地や奈良盆地といった地域にも広がっていることが特徴です。特にこの層には、アケボノゾウやシガゾウといった旧象を始め、マチカネワニや多様なシカ、さらには様々な貝類と植物群が含まれており、生物の多様性が伺えます。アズキ火山灰層はその中でも特に重要で、新第三紀末から氷期にかけての温暖な気候の移り変わりを示しています。このため、地層に存在する化石は、日本の主要な平野や盆地の形成時期を推定する重要な手掛かりとなっています。

大阪層群の成立と調査の歴史

1949年に、敗戦後の燃料不足を背景に、京都大学の地質研究者を中心とした大阪府地下資源調査委員会が、天然ガスの調査を目的にボーリングを開始しました。この研究は千里丘陵から始まり、そこから得られた土や粘土が大阪層群と名付けられました。調査が進む中で、同様の地層が広範囲に渡って分布していることが確認されました。しかし、目的であった天然ガスの発見は確認できず、わずかに出た地点は寝屋川市内や堺筋だけでした。この調査活動は、2〜3年で終了しましたが、学術的には非常に価値ある発見があったため、その後も研究が続けられました。

大阪市立大学や京都大学の研究者たちは、この地層のより詳細な調査を行い、その成果は後に大阪市内での地盤沈下対策や地下水の工業用水としての利用に役立てられました。

大阪層群の構造

大阪層群は、複数の砂礫層と粘土層が層を成しており、特に中・上部には海成粘土層が10層も存在します。一方で、下部には湖成粘土層が広がっており、これによりこの地層は海と湖の両方の影響を受けたことが示されています。特に目を引くのは「アズキ火山灰層」であり、この層はピンク色をした火山灰から成っていて、その外見が小豆のアイスキャンディーに似ていることからこの名が付けられました。ボーリングの結果、アズキ火山灰層は地下およそ400メートルのところに存在し、大阪層群自体は地下700メートルまで続いています。これにより、この層は同一の時代を示す重要な基準層とされています。

調査によって、大阪層群の下には基盤となる花崗岩があり、それが大きなたわみを持っていることが発見されました。この結果として、京都大学の槙山次郎教授が生駒山の基盤褶曲説を発表するきっかけとなりました。大阪層群は、生駒山や千里丘陵、六甲山といった現在の地形が形成される前、広大な平野部分として堆積し、次第に現在のような丘陵や山脈に変容していったことを示しています。

このように、大阪層群は地質学的には非常に多様性に富んだ層であり、研究や調査が続けられることで、新たな知見が次々と発見されています。それにより、地層の成り立ちや過去の環境を理解するための重要な資料として位置づけられており、その後の研究が期待されるところです。

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