大阪木材仲買会館

大阪木材仲買会館について

大阪木材仲買会館（おおさかもくざいなかがいかいかん）は、大阪府大阪市西区南堀江四丁目に位置する重要な建築物です。この施設は、日本において初めて耐火性能を持つ木造オフィスビルとしての地位を築いています。また、大阪木材仲買協同組合の本部事務所がこの会館に設置され、木材業界の中心的な役割を果たしています。

建築の歴史と背景

かつてこの場所には、1957年に完成した旧会館がありました。この旧会館は鉄筋コンクリート製の2階建てで、長い歳月を経て老朽化が進みました。また、堀江地区は江戸時代から材木業が栄えてきた地域であり、木材を生かした新たな建物の建設が期待されていました。

新しい会館の建設に際しては、地域の特性を考慮し、木材を利用した「木の殿堂」を目指すこととなりました。しかし、建設地は防火地域に指定されていたため、火災に強い構造が求められました。2011年に行われた設計プロポーザルの結果、竹中工務店が選ばれ、同社が開発していた耐火集成材「燃エンウッド®」が使用されることになりました。

建物の構造とデザイン

この会館は、東西に広がる敷地に建てられ、南側は道路に面しています。北側外壁は耐震と防火の両方の役割を果たす設計となっており、1階部分は水害に備えて鉄筋コンクリート構造が採用されています。南側には、旧会館に存在した桜の木を囲むようにアーチ状にデザインされたファサードがあり、大きな軒庇が設けられています。この庇は木材を雨や直射日光から守るだけでなく、火災時には上層への延焼を防ぎ、避難経路としても機能します。

「燃エンウッド」は、外層にカラマツ材の燃え代層、内層にはカラマツ材とモルタルが交互に配置された燃え止まり層、そして中心に荷重を支えるカラマツ材を用いた三層構造です。火災が発生した際には、燃え代層が高い断熱性を持つ炭化層に変化し、燃え止まり層が熱を吸収します。これにより、荷重支持部が安全に残る仕組みが整えてあり、耐火性能は1時間に達します。この集合体は、国土交通大臣からの認定を受けるなど、信頼性の高い耐火設計が特徴です。

内装においても木材の使用が徹底されており、壁材や建具、家具に至るまで、ほぼ全ての部分で木材が用いられています。特に日除けには、ヒノキの薄材をガラスで挟むデザインが採用されています。新入学の季節には、訪れた親子が桜の木をバックに記念撮影をする光景も見られるなど、地域住民の憩いの場ともなっています。

受賞歴

大阪木材仲買会館は、数々の賞を受賞しており、その美しいデザインと環境への配慮が評価されています。具体的には、2013年度には大阪ランドスケープ賞および日経ニューオフィス賞の受賞を果たし、さらに2014年度には日本建築家協会の環境建築賞や大阪都市景観建築賞での特別賞を、2015年にはBCS賞および日本建築学会作品選奨を受賞しています。

このように、大阪木材仲買会館は単なる事務所の枠を超え、地域に根ざした文化的な拠点として位置づけられています。

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