大鷲型哨戒艇

大鷲型哨戒艇（チャムスリ級）

大鷲型哨戒艇、英語ではChamsuri-class patrol vesselsと呼ばれるこの艦級は、韓国海軍において重要な役割を果たす哨戒艇です。最初は雁型（キロギ型）と呼ばれていましたが、より威厳のある名称が求められたことにより、現在の大鷲型に改名されました。アメリカの支援を受けながら進められた国の防衛力の強化が背景にあるこの艦は、冷戦下の緊張に応じた自主国防の象徴ともいえる存在です。

来歴

1968年、アメリカ合衆国大統領に就任したリチャード・ニクソンが、在韓米軍の部隊撤退を決定しました。この動きは、米中接近の一環として位置付けられ、韓国政府にとっては自国の防衛力を向上させる必要性が高まりました。特に、同年6月には北朝鮮の哨戒艇に韓国海軍の放送船が拿捕される事件が発生し、脅威が現実のものとして認識されるようになったのです。

この状況を受けて、大韓民国は「国軍現代化5か年計画」を策定し、1973年には防衛産業育成のための特別法を施行しました。1974年からは栗谷計画をスタートさせ、国の防衛力を強化するための8ヶ年計画が進められました。この過程で大鷲型哨戒艇の建造が始まり、最初の契約は1976年11月に締結され、その後、13回にわたって発注が繰り返されました。

設計

大鷲型は、事前に計画された燕型PKよりも大きな船体を持つPKM（Patrol Killer Medium）として設計されました。初期型の全長は33.1メートル、排水量は141トンでしたが、1982年に発注された分からは全長を37メートル、排水量を157トンに修正しました。この艦は、高速性能が求められ、主機にはMTU 16V538 TB90が搭載されています。最大出力は約10,800馬力に達し、設計上の最大速力は38ノットですが、実際には34ノットでの運行が見込まれています。

当初の計画では、フランス製のエグゾセMM38艦対艦ミサイルを搭載する予定でしたが、アメリカの反対により砲兵器のみに依存した武装配置となりました。

初期の1～4次事業においては、75口径30mm機関砲を連装式で搭載し、後部には70口径20mm機関砲、船尾にはMk.3 40mm単装機関砲が配置されていました。後の5～9次事業では、艇後部の武装が有人砲塔式の20mm多砲身機関砲に変更され、最新の10～13次事業分では艦首砲が有人砲塔式60口径40mm単装機関砲に更新されました。

まとめ

大鷲型哨戒艇は、韓国海軍の防衛力強化に寄与する重要な艦艇であり、常に時代の変遷に応じて進化しています。冷戦時代の緊張の中で誕生し、国の防衛において中心的役割を果たしている本艦は、今後もその存在意義を高めていくことでしょう。

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