大鷹型航空母艦

大鷹型航空母艦について

大鷹型航空母艦は、大日本帝国海軍が保有した航空母艦の艦型であり、主に商船を改造して建造されました。この艦型は、海軍の航空機運用能力を向上させるために設計され、特に戦時下における航空機輸送任務で重要な役割を果たしました。

特徴

大鷹型航空母艦は、元々の設計が商船であるため、政府の「優秀船舶建造助成施設」制度に基づく多額の助成金が投入されました。船体設計には海軍の専門家の意見が大きく反映されており、航空機用の燃料タンクや爆弾庫としての空間が事前に確保されていました。具体的には、船首の第一船倉は燃料タンクに改造され、第二船倉は爆弾や魚雷を収納するために設計されました。

ただし、防御構造は正規の航空母艦と比較すると非常に簡素で、最低限の防御しか施されていませんでした。改造に際しては遊歩甲板を撤去し、その下に格納庫甲板を設け、さらに約5メートル上には飛行甲板が設置されました。元の客船の機関はそのまま使用され、速力は21ノットと制限されました。このため、大鷹型航空母艦は一線級の艦上機を効果的に運用することが困難でした。

歴史

大鷹型航空母艦は、元々日本郵船が欧州航路用に建造した新田丸級貨客船を改造したものです。1940年秋から建造が始まり、春日丸、八幡丸、新田丸がそれぞれ大鷹、雲鷹、冲鷹へと改造されました。艦型は小型であり、太平洋戦争中は航空機の輸送が主な任務となり、内地とトラックとの往復を繰り返しました。

この艦型の航空母艦は、当時の一線級の艦上機を実戦で運用することが難しいため、主に航空機の輸送に使用されました。内地からパラオ、トラック、ラバウル、フィリピン、ジャワ、シンガポールなどへの輸送に従事し、航空機だけでなく陸軍機や双発爆撃機も輸送しました。特に大鷹は、1942年から1943年にかけて18回の輸送任務を行い、218機を輸送するなど、その重要性は高まりました。

1943年12月以降、これらの艦は輸送任務から船団護衛任務に転じましたが、春日丸が米潜水艦の攻撃を受け沈没する事故が発生しました。1944年5月には大鷹と雲鷹が船団護衛に投入され、護衛艦艇と共に行動しました。大鷹は、護衛任務に33回従事し、無事に帰還したものの、夜間の対潜哨戒は行えませんでした。

しかし、1944年8月、ヒ71船団護衛中に米潜水艦の攻撃を受け、航空機用燃料タンクが被雷し沈没したのが大鷹です。また、雲鷹も同様に1944年9月に沈没しました。当時の大鷹型航空母艦は、航空機輸送のみならず、護衛任務での活躍もありましたが、戦局の厳しさと艦の設計の限界に直面することとなりました。

同型艦

• - 大鷹（新田丸級「春日丸」）
• - 雲鷹（新田丸級「八幡丸」）
• - 冲鷹（新田丸級「新田丸」）
• - 神鷹（シャルンホルスト）
• - 海鷹（あるぜんちな丸）

大鷹型航空母艦は商船を基にした独特な存在であり、戦時中における航空機の輸送を通じて日本海軍に寄与しましたが、運用面では多くの制約があったことも事実です。本艦型は戦争の変遷を物語る貴重な遺産となっています。

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