大麒麟將能

大麒麟 將能の生涯とキャリア

大麒麟 將能（だいきりん たかよし、1942年6月20日 - 2010年8月4日）は、佐賀県佐賀郡東川副村（現在の佐賀市）に生まれ、二所ノ関部屋に所属していた元大相撲力士です。彼の本名は堤 隆能（つつみ たかよし）であり、最高位は東大関でした。現役時代の体格は181cm、140kgで、得意手には右四つや寄り、吊り、うっちゃりがありました。

学生時代と初土俵

中学時代、柔道で活躍し、さらには生徒会長を務めるうちに人望を集めました。将来的には防衛大学校を目指すほど学業にも励んでいたとされています。そのような才能を見抜いた二所ノ関親方により、1958年5月に本名で初土俵を踏むこととなりました。

彼は後に「麒麟児」と改名し、1962年には新十両に昇進。しかし、寄生虫による体調不良に苦しむこととなり、一時は幕下に降格するまでに至りました。最終的には大阪の病院で治療を受け、復活を果たします。

幕内昇進と取り口

1963年9月には新入幕を果たしますが、負傷の影響で休場を余儀なくされました。1965年には再入幕し、特に有名な戦いは、1966年の初顔合わせで横綱・柏戸を相手に勝利したことです。このやり取りによって、彼の実力が広く知られることとなりました。

しかし、その後の大関昇進には多くの挑戦がありました。1968年の大関になった時も、以前の成績が振るわなかったため、なかなか安定した勝利を収められませんでした。しかし、1970年の秋場所での素晴らしい戦いを経て、ついに念願の大関の座を掴み取ります。

大関としての葛藤

大関としての前半10場所では、7場所で二桁勝利を記録するなど安定した成績を残しつつも、新たな問題も浮上しました。特に1971年の場所では、八百長疑惑が彼を襲い、協会から厳重注意を受けるなどの騒動もありました。こうした公私のトラブルは彼のキャリアに影を落としました。

1972年には右腕の骨折が響き、成績は次第に下降の一途を辿りました。最終的な大関時代の成績は11勝4敗にとどまりましたが、彼の素質は横綱に十分に通じるものでした。

引退と後の人生

1974年に相撲界から引退した後、彼は押尾川として年寄に就任し、指導に努めることになります。しかし、師匠の死後の混乱や、弟子との確執が続きました。特に、二所ノ関部屋を巡る騒動は大きな問題となり、結果的には押尾川部屋を設立しました。

ところが、弟子に関するトラブルや、若い力士たちとの軋轢が絶えず、その後は部屋を閉鎖する決断を下すこととなります。2006年には協会を退職し、以降は公の場に登場することはほとんどありませんでした。

彼は医師の息子を持ち、健康に留意した晩年を望みましたが、元弟子の不祥事などが影響し、2010年、膵臓癌により68歳でこの世を去りました。

人物とスタイル

大麒麟は、信念として「初志貫徹」を掲げ、またインテリとしても知られていました。趣味は読書やジョギング、囲碁だったことでも知られています。また、相撲における彼の取り口は柔軟であり、体の使い方には特有の技がありました。特に「麒麟児のうっちゃり」として多くのファンに愛された技は多くの選手に影響を与えました。彼のスタイルや生き方は、今なお相撲界の記憶に深く刻まれています。

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