大麻草の栽培の規制に関する法律

大麻草の栽培の規制に関する法律について

「大麻草の栽培の規制に関する法律」は、元々「大麻取締法」として、GHQの指示により制定されました。2023年の法改正で、大麻の所持や譲渡の規制は大麻を麻薬として規制する法律に移管され、本法は大麻草の栽培規制に特化しました。ここでは、その概要、内容、目的、規制対象、国外犯処罰規定、法改正の経緯について解説します。

制定の背景

1930年、医薬利用されていた印度大麻とその樹脂が「麻薬」とされ、製造や輸出入が規制されました。戦後、繊維や種子の採取目的での大麻栽培が許可制で認められる一方、大麻の輸入・輸出・所持・販売等は引き続き規制されました。1948年に「大麻取締法」が制定され、大麻の取り扱いが学術研究や繊維・種子の採取に限定され、不正使用を防ぐため、大麻取扱者が免許制となりました。

法律の概要

大麻草栽培者（第一種、第二種、研究栽培者）の免許や義務、罰則などが規定されています。罰則面では、必要的没収や供用物件の没収範囲の拡張が特徴的です。日本は伝統的に大麻を繊維や食用、縄として利用してきましたが、麻薬成分を含む部位があるため、1930年から吸引目的の栽培が規制されてきました。戦後、GHQの指令により麻薬取締規則が制定され、日本での大麻取締が始まりました。

規制対象

法律では、「大麻」とは大麻草（種子と成熟した茎を除く）とその製品（大麻草としての形状を有しないものを除く）を指します。大麻草の種子は、他の栽培者に譲渡する場合を除き、発芽不能にする必要があります。大麻草栽培者以外による栽培は禁止されています。旧法では大麻から製造された医薬品の使用も禁じられていましたが、改正により認められるようになりました。不正な使用や施用は、麻薬及び向精神薬取締法違反となります。

国外犯処罰規定

1991年の改正で、国外での大麻の輸出入・栽培・譲渡・所持等も処罰対象となりました。ただし、「みだりに」行った場合に限られます。厚生労働省は、「みだりに」とは社会通念上正当な理由がない場合を指すとしています。合法な国での行為でも、日本国籍者には罰則が適用される可能性があるという注意喚起も行われています。2023年の改正後は、大麻の栽培のみが国外犯処罰の対象となり、その他の行為は麻薬及び向精神薬取締法の対象となります。

法改正の経緯

1912年の国際阿片会議で麻薬乱用禁止が決議され、1925年の第二阿片会議条約で大麻の国際的規制が始まりました。日本では1930年に大麻が麻薬指定され、1948年に大麻取締法が制定されました。その後、数回の改正を経て、1991年には国外犯処罰規定が新設されました。

2023年の改正では、若年層の大麻使用増加を受け、大麻の「使用罪」創設や医療大麻の検討が始まりました。改正により、大麻から製造する医薬品の使用が認められ、栽培免許の種類が分けられました。また、大麻の所持や譲渡などは麻薬として規制されることになり、本法は大麻草の栽培規制に特化しました。

2024年12月には改正法が施行され、大麻は使用罪の適用対象となる「麻薬」としての扱いとなりました。製品中のTHC残留限度値が設定され、基準を満たす製品は流通可能となりました。

まとめ

「大麻草の栽培の規制に関する法律」は、大麻の規制に関する日本の歴史と社会の変化を反映しています。今後の課題として、医療大麻の導入や、若年層への啓発活動の推進などが挙げられます。

参考文献

松下正明、牛島定信、小山司、三好功峰、浅井昌弘、倉知正佳、中根允文 編『薬物・アルコール関連障害』中山書店〈臨床精神医学講座〉、1999年6月。ISBN 978-4521492018。

関連情報
麻薬取締員
麻薬取締官
アサ
カンナビジオール
テトラヒドロカンナビノール
麻薬・覚せい剤乱用防止センター - 大麻について
警察庁 - 覚せい剤、麻薬等、大麻事犯の態様別検挙状況 (平成19年、PDF)
* 青少年の薬物問題を考える会 - ウェイバックマシン（2009年5月30日アーカイブ分） - 小森榮（弁護士）「大麻取締法と薬物乱用」

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