天一俊哉

天一 俊哉（てんいち としや）は、新潟県南魚沼市出身の現役大相撲力士。本名は渡辺 俊哉。1977年11月22日生まれ。現在は山響部屋に所属しているが、入門時は北の湖部屋であった。

中学校を卒業後、相撲界の門を叩き、1993年3月場所で初土俵を踏んだ。当時の所属は北の湖部屋で、この部屋は後に山響部屋へと改称される。同期生には北勝力や皇司といった後に幕内で活躍する力士たちがいた。また、入門時期はわずかに異なるものの、元大関武双山である18代藤島親方からは、現役時代から特に目をかけられていたという。

初めて番付に名前が載った1993年5月場所から、四股名を「天一」と名乗るようになった。この四股名は、地元で世話になった草相撲力士の名前から譲り受けたものである。

キャリア序盤の重要な出来事として、序二段で迎えた1995年5月場所がある。この場所で天一は全勝を果たし、優勝決定戦に進出した。巴戦形式で行われた決定戦では、後に大関となる志賀（後の栃東）を含む3人での争いとなったが、惜しくも優勝を逃した。しかし、この活躍が評価され、翌7月場所には三段目へ昇進した。

三段目では1997年7月場所に自身初の各段優勝を経験する。この場所は、所属部屋から幕下の須佐の湖、序二段の雷法もそれぞれ優勝を飾るという珍しい場所となり、NHK大相撲中継の優勝インタビューは3人同時に行われるという異例の形となった。この優勝を経て、翌9月場所で念願の幕下へ昇進する。

幕下昇進後は、巡業や花相撲で披露される「初切（しょきり）」を担当するようになった。約2000年頃からの5年間、このユニークな演目を務めた天一は、持ち前の陽気さとサービス精神で観客を楽しませた。時にはエンターテイナー気質を発揮し、覆面レスラーを模した「覆面力士」として初切に乱入するという、角界ではあまり例を見ないパフォーマンスを披露し、人気を博した。

番付の上昇も続き、2006年11月場所には自己最高位となる西幕下10枚目まで番付を上げた。これは関取昇進も現実味を帯びてくる地位であり、天一のキャリアにおける大きな節目となった。30歳を過ぎてからも長く幕下の地位を保ち、土俵に上がり続けた。

特筆すべきは、一度三段目に番付を下げていた2013年9月場所での活躍である。この場所で、天一は35歳10か月という高齢ながら、自身2度目となる三段目優勝を飾った。これは、それまで十文字が保持していた幕下以下の最高齢優勝記録（34歳1か月）を1年以上も更新する快挙であり、その衰えぬ実力と努力が証明された瞬間であった。

怪我が非常に少なく、入門以来、長期間にわたり場所を休むことなく皆勤を続けていたことも天一の大きな特徴である。しかし、この鉄人ぶりも終焉を迎える時が来た。2015年1月場所の6番相撲で、天一は自身にとって初めての不戦敗を喫し、長く積み重ねてきた連続出場記録は908回で途絶えることとなった。

2016年9月場所以降は幕下から陥落し、主に序二段や三段目の番付で土俵を務めている。番付は下がっても、現役力士として相撲を取り続けるという強い意志を持ち続けている。

長きにわたる土俵生活は、角界全体を見渡しても稀有なものとなっている。2025年5月場所限りで澤勇が引退したことにより、2025年7月場所以降、天一は現役力士の中で最も長く土俵に上がり続けている、いわゆる「最古参力士」となる見込みである。

記録としては、通算成績は2025年5月場所終了時点で645勝678敗14休（192場所）を数える。各段優勝は三段目で2回。番付こそ関取には届かなかったものの、初切でのエンターテイメント性、高齢での記録的な優勝、そして何よりも長年にわたり土俵に上がり続けたその姿勢は、多くの相撲ファンにとって記憶に残る力士として語り継がれるだろう。

四股名は、初土俵時の「渡辺山 俊哉」から始まり、「天一 俊哉」、「天一 力」、「天壱 俊哉」、「天壱 闘志矢」と改名を繰り返し、現在は再び「天一 俊哉」を名乗っている。

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