初切

初切（しょきり、しょっきり）：相撲におけるユーモラスな見世物

初切は、相撲の禁じ手をユーモラスに披露するための見世物であり、江戸時代から行われてきた文化です。この演目は相撲の取組の前に、さまざまな決まり手や禁じ手を紹介する形で実施され、今では主に大[[相撲]]の花相撲や巡業で見ることができます。

演技の形式

初切の演技には、幕下以下の力士二人が対決するスタイルが基本です。この際、行司が土俵に上がり、力士は反則技を使ってパフォーマンスを行います。蹴り倒したり、殴り合ったり、髷を掴むといった演技が行われ、時には他の格闘技の技も取り入れられます。また、演技は笑いを伴うものが多く、プロレスを真似たピンフォールのカウントを行じやが取ることや、行司をダウンさせるようなドタバタ劇も見られます。更に、ザ・ドリフターズのように一斗缶などの小道具を使うこともありますが、その場合も相手の頭を叩くシーンが見どころです。

感じるユーモアと真剣さの中にある初切ですが、力士たちはかなり真剣に筋書きを練り、身体を張ったパフォーマンスを披露します。元横綱審議委員会委員長の酒井忠正によると、彼が学習院時代に友人と行った初切が謹厳な院長に認められた逸話を持つことから察するに、初切は単なる興行ではなく、文化的な価値を持っていると言えるでしょう。

禁じ手の特例

初切では禁じ手が積極的に用いられるものの、反則負けにはなりません。行司が「本来なら反則負けのところを、格別の情けをもって」と宣言することにより、勝負がとり直される仕組みです。そのため、初切では勝負が決まらず、笑いや驚きの要素が高まります。観客はこの新しい形の相撲に興味を持ち、初切を見ようと巡業の会場に早くから集まる casosが多いのです。

また、初切を務めた力士には出世できないというジンクスが存在します。この俗説から多くの力士が伝統的なパフォーマンスを避ける傾向も見られますが、過去には例外も多く、名だたる力士も昇進を果たしています。

定番のパフォーマンス

初切においては、力士たちの定番のパフォーマンスがいくつかあります。土俵に上がる際に踏み俵を踏み外して転ぶことで笑いを誘ったり、準備運動として相手にラリアットを仕掛けるなど、観客の期待を裏切りません。また、塩を盛大に撒くフリをするなど、身体を使ったコントのような演出も見られます。

他にも、相手と肩が触れるほど近い位置に腰を落とし、「近いだろう！」とツッコミを入れるパターンや、力士同士が張り手の応酬をしてボクシングのようにダンスをする場面もあり、プロレスの技を真似ることから一層の盛り上がりを見せます。観客を巻き込んでのハプニングや、力士二人が揃って食事をし始めるなんてこともあり、観客にとってはその演技が待ち遠しいものとなっています。

まとめ

初切は、単なる相撲の余興に留まらず、力士たちの身体能力とユーモアが織り交ざった文化的な表現です。観客を笑わせ、楽しませるために真剣に演技を行う力士たちの姿は、相撲界における新たな魅力を生み出しています。これからも、初切は日本の伝統的なエンターテインメントとして、その存在感を保ち続けることでしょう。

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