天下無雙流 (櫻場系)

天下無雙流とは

天下無雙流（てんかむそうりゅう）は、櫻場采女正藤原廣政によって創始された捕手術の流派であり、主に肥後国（現在の熊本県）で学ばれていました。この流派は天正11年（1583年）に、その流祖が摩利支尊天の教えを受けて数十条の捕手技術を習得したことから始まります。元々は肥後で教えられていましたが、幕末には松本英之輔が栃木県に流派を伝え、地域的な広がりも見せました。

歴史

天下無雙流の初めは、櫻場采女正藤原廣政が摩利支尊天から教えを受けたことに遡ります。慶長の時期には禁内裏から流派の名を賜り、1611年には弟子の花田九太夫によってその技が相伝されました。櫻場采女正は肥後国でこの流派の指導を続け、細川三斎など多くの弟子を育てました。さらには、松本英之輔のような弟子が関東地方に流派を広め、地域ごとに独自の流派名が用いられるようになりました。

流派は明治時代にも存続し、帝国尚武会の野口潜龍軒が学んだり、1902年には肥後流体術の制定に貢献するなど、近代武道の発展にも寄与しています。

系譜

この流派の系譜は、櫻場采女正から多くの弟子たちに引き継がれました。以下はそのいくつかの名を示します。

• - 櫻場采女正藤原廣政
• - 花田九太夫入道宗祗藤原勝盛（慶長十六年三月）
• - 牛島文太夫藤原有利（寛文二年三月）
• - 井上半内藤原勝重（延宝五年七月）
• - 丸山傳助藤原重次（元禄七年六月）

さらには川端八和太源正武以下の名もおり、連綿とした流派の発展が見られます。

流派の内容

天下無雙流の特徴は、三十五箇条からなる捕手術や手棒、捕縄術、道具を用いた抵技術など多岐にわたります。流派によってそれぞれ形や技術にばらつきがありますが、一般的には角指という道具が用いられ、1鋲や2鋲の道具によって技の効果が異なります。

具体的な技術の例としては、前引や後廻、居痿、腰痿、逆手打のような捕手技があり、多岐に渡る技術が体系化されています。

また、手数として三十六ヶ所の当身技も伝授されていて、これにより相手を制圧する能力が高まります。捕手術を歌で説明した歌目録も存在し、技術の精髄が集約されています。

結論

天下無雙流は、ただの武道流派に留まらず、歴史的にも文化的にも重要な役割を果たしてきました。流派独自の捕手術や技、さらには教えの受け継ぎ方が日本の武道文化の一助となり、今もなお多くの人々に影響を与えています。その伝承された技術は、武道の精神や哲学を学ぶ上でも貴重な財産となるでしょう。

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