天宝 (唐)

天宝（てんぽう）

天宝は、中国・唐の玄宗皇帝の治世後半（742年 - 756年）に使用された元号です。この時代は、唐朝の最盛期から衰退期への転換点であり、様々な出来事が起こりました。

天宝年間の主な出来事

天宝元年 (742年): 安禄山が平盧節度使に任じられ、その後の安史の乱へと繋がる彼の勢力拡大が始まります。
天宝3年 (744年): 年次表記が「年」から「載」に改められました。これは、玄宗皇帝が天宝の時代を重視し、新たな時代を築こうとする意思の表れとも解釈できます。
天宝3載 (744年): 楊貴妃（当時は楊太真と呼ばれていました）が玄宗皇帝の後宮に入り、寵愛を受け始めます。彼女の存在は、政治にも大きな影響を与えるようになります。また、安禄山が范陽節度使を兼任し、軍事的な力をさらに増していきます。
天宝4載 (745年): 楊太真が貴妃の位を授けられ、楊貴妃となります。楊一族が権勢を振るい、政治腐敗が進む一因となります。
天宝10載 (751年): 高仙芝率いる唐軍がタラス河畔の戦いでアッバース朝に敗北します。この敗戦は、唐の西方への影響力の低下を示す出来事でした。
天宝14載 (755年): 安禄山が反乱を起こし、安史の乱が勃発します。これにより、唐朝は大きく揺らぎ、衰退の一途を辿ることになります。安禄山軍は洛陽を占領し、その勢いを拡大します。
天宝15載6月 (756年): 玄宗皇帝が退位し、粛宗が即位します。これに伴い、元号は至徳と改元されました。

天宝という時代

天宝の時代は、文化的には非常に華やかであり、唐の文化が爛熟した時期でした。しかし、政治的には楊貴妃一族の専横や安禄山の勢力拡大など、不安定な要素も多く抱えていました。安史の乱は、その矛盾が一気に噴出した結果と言えるでしょう。

その他

中島敦の小説『山月記』では、主人公の李徴が科挙に合格したのが「天宝の末年」とされています。
* 天宝は、他王朝でも元号として使用されたことがあります。

西暦・干支、他元号との対照表

(省略)

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